豪小売大手ウールワース、コールズ、独小売大手アルディ(ALDI)の豪子会社の3社で構成されるラウンドテーブル「軟質プラスチック・タスクフォース」は3月7日、スーパーマーケットでの新たな軟質プラスチック回収スキームの開始に必要なステップと、オーストラリアでのリサイクル業界の現状をまとめたレポート「Roadmap to Restart」を発表した。
今回のアクションは、ウールワースやコールズが小売店舗で回収したプラスチックをリサイクルしている協働先の豪リサイクル団体REDcycleが回収を2022年11月に一時停止したことが発端。回収量がオーストラリア国内の軟質プラスチックのリサイクル処理量を超過していた。同団体は、処理前の廃軟質プラスチックの備蓄で対応したが、3社は暫定的な解決策を模索していた。
REDcycleは10年前に創業した老舗のリサイクル事業者。2019年以降リサイクル量が4.5倍にまで増えていると表明しており、毎年の回収量は500万個に上っているという。さらに新型コロナウイルス・パンデミックの影響で、稼働率の低下や主力の再生製品の需要減が重なった。加えて、2022年6月には最大の再生素材の提供先の工場で火災が発生し、調達が止まったことも追い打ちをかけた。その後、REDcycleは、政府、規制当局、企業との交渉を実施。マルチステークホルダーでの対策協議が始まっていた。
軟質プラスチック・タスクフォースによると、現在の備蓄能力は、推定で年間12,000t。同タスクフォースは、今後、オーストラリア国内で、リサイクル能力が徐々に増加していくことも見通した。一方、コールズとウールワースは、国内での処理能力を超える場合に備え、廃プラスチックを海外輸出し海外でリサイクルするため政府承認を取得しにいく考えを明らかにした。その際、透明性とトレーサビリティは確保する。
現在の計画では、REDcycleは備蓄されている軟質プラスチックの解消を条件に、2023年後半から一部店舗で店舗内回収の実証を再開する予定。その後、新プログラムを2024年から段階的にオーストラリア全土で展開していく。他の小売業者、電子商取引プラットフォーム、消費財メーカーに対し、新たな店舗内回収プログラムの開発協力も呼びかける。
豪容器・包装協定機構(APCO)の推定によると、REDcycleプログラムが回収した消費者由来の廃軟質プラスチックは全体の5%未満。同タスクフォースは、長期的かつ国家的な軟質プラスチックリサイクル戦略が必要と指摘した。また同タスクフォースは、豪食品・食料品協議会(AFGC)が提案する、食品・消費財メーカーが回収・処理・管理コストを支えるための賦課金を支払うスキーム「国家プラスチックリサイクル・スキーム(NPRS)」を支持すると表明した。同スキームはすでに、一部地域で試行されている。
豪ビクトリア州政府では現在、廃軟質プラスチックを、一般家庭ごみと分けて回収する対象に指定するルールを協議中。同タスクフォースはこの動きを歓迎し、他の州・準州政府でも協議を行うよう要請した。
【参照ページ】Soft Plastics Taskforce lays out path to restore soft plastic recycling
【参照ページ】Soft Plastics Taskforce lays out path to restore soft plastic recycling
【レポート】Roadmap to Restart
【参照ページ】A RED hot go
【画像】Woolworth
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