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【日本】日医工、221品目の販売中止。ジェネリック供給懸念が高まり、日本の医療全体の課題に

 日医工は3月3日、221品目の医薬品の販売中止を発表した。同社は2月末時点で1,496品目を製造していたが、約15%に相当する製品が販売中止となった。2020年から始まった同社の品質管理問題が長く尾を引いている。

 同社は、2020年に製品の自主回収(リコール)を複数回発表し、35品目を回収。同時期に同じくジェネリック医薬品(後発医薬品)大手の小林化工でも、医薬品混入事件が発覚しており、ジェネリック医薬品全体の信頼失墜をおそれた日本ジェネリック医薬品・バイオシミラー学会は同12月に、「ジェネリック医薬品関連で発生している各種回収事案についての緊急声明文」を公表。両社に対し、第三者第による調査団の受け入れ、再発防止策の立案並びにその公表を要請していた。

 しかし日医工は再び2021年1月、医薬品38品目の自主回収を発表。同年2月には、富山県と医薬品医療機器総合機構(PMDA)の合同による無通告査察を実施するに至り、富山第一工場で厚生労働省のGMP(Good Manufacturing Practice)省令違反の疑いが発覚。その後の調査で薬機法違反が確認され、同3月に行政処分を科された。製品の初回試験の不適合の結果、原因究明を行わず、合格がでるまで繰り返し、再試験を実施している等の慣行が明るみとなった。結果、富山第一工場は32日間の業務停止、第一種及び第二種医薬品製造販売業は24日間の業務停止となった。富山第一工場は4月26日に業務を再開している。

【参考】【日本】日医工、富山県から32日間の業務停止命令。日本ジェネリック製薬協会の会員資格5年間停止(2021年3月12日)

 そこから同社の財務状況は急速に悪化。同8月には、メディパルホールディングスを引受先とする第三者割当増資を実施し、約52億円を調達。メディパルホールディングスは持株比率9.90%の筆頭株主となった。さらに2022年5月には、本事業再生ADR手続を利用すると発表。全債権金融機関から債務返済の一時停止を了承されていた。

 同社は同11月2日、86品目の販売中止を公表。ここで第1弾の販売商品縮小が決まった。同11月4日には、9月中間連結決算で約356億円の債務超過に陥ったと発表。同時に、企業再生ファンドのジェイ・ウィル・パートナーズ(JWP)が管理・運営する合同会社ジェイ・エス・ディーを割当先とする総額200億円の第三者割当増資を発表した。加えて、メディパルホールディングス傘下の医療用医薬品等卸売事業会社が、同社に計画発注することで、売上を早期に確保していく施策も表明した。これにより、株主構成は、ジェイ・エス・ディーが89.99%、メディバルホールディングスが0.99%となった。この時点で。田村友一代表取締役社長の退任が発表された。さらに12月、本事業再生ADRが成立し、全15の金融機関が、最大で債権の6割強にあたる985億円を放棄することで同意した。

 厚生労働省によると2022年の時点で、現在の後発医薬品の数量シェアは79.0%にまで達している。だが、複数の後発医薬品大手による不祥事により、当初の品質課題からサプライチェーンリスク課題へと発展。厚生労働省の資料によると、2022年12月の時点で、医薬品全体の28.2%、後発医薬品品では41.0%の出荷停止もしくは限定出荷が発生している。医療機関、薬局、医薬品卸では調達確保の追加業務が発生し、大きな負担がかかっている。厚生労働省は、関係者間で情報共有を密にすることで、必要なところに効率的に分配する要請するとともに、診療報酬の特例措置を発動し、後発医薬品処方の負担を軽減する策に出た。

 その中での今回の221品目の医薬品販売中止が決まった。そのうち、日医工及び委託製造所を含む関係者で代替薬を準備した品目が93品目。日医工が製造販売中止する数量を、他社が増産する品目が62品目。出荷停止案内済の製品とその規格揃え品目及び市場における存在感の低い品目が60品目。2020年5月より出荷停止しており、代替薬が使用されている品目が2品目。さらなる供給不足が懸念されている。

 同社は2月には、連結持株子会社の米Sagent Pharmaceuticals(デラウェア州)を通じて保有するSagent Pharmaceuticals(ワイオミング州)とカナダのOmega Laboratoriesの全株式を、インド実業家Dr. Ravi Penmetsa が資産管理会社を通じて実質的に所有するEllimist Singaporeに譲渡することも決めている。

【参照ページ】販売中止に関するお知らせ
【参照ページ】医薬品の安定供給問題を踏まえた診療報酬上の対応について

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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