国連責任投資原則(PRI)は2月22日、投資先企業のESGマネジメント改善するための株主提案の活用ガイドを発行した。米国、英国、カナダ、ドイツ、フランス、オーストラリア、南アフリカ、日本の各法域毎の法規制を含めた分析も行った。
PRIは、機関投資家のスチュワードシップとして、株主総会の議案を提出する株主提案を重視している。近年、ESGに焦点を当てた株主提案の数は劇的に増加していることについて、投資家のスチュワードシップが高まっているとみている。
同ガイドでは、株主提案のインパクトを最大化するための手法として4つを提言した。まず、システマティックリスクに関連するESG課題や、ポートフォリオが最も重要なサステナビリティ成果を生み出す課題を優先すること。次に、サステナビリティ・パフォーマンスを大幅に改善する機会が最も多い企業を特定すること。そして提案のレベルとして、開示や現在の慣行の改善だけを求めるのではなく、提案によってシステマティックなリスクを軽減し、サステナビリティの成果を進展させることができるかどうかを検討すること。最後に、株主提案だけでなく、他の手段を組み合わせたほうが効果的かどうかを検討すること。
株主提案を行う上では、各法域の法令や、当該企業の定款等に留意することにも言及した。特に、株主提案では、株主提案が特別決議による会社の定款等の改正という形を取らなければならない等の規制があることに注意を払うべきとした。諮問的決議のように、法的拘束力のないものでも、株主との関係を悪化させるため、企業は故意に無視できなくなってきていると伝えた。株主提案の共同提出についても指南した。共同提出する機関投資家間での費用負担等の調整や、競争法違反等のルールの確認を早期に行うことも推奨した。
株主提案の提出では、提案の撤回と引き換えに、提出した機関投資家と交渉することを検討するという流れも一般的。企業のコミットメントを受けて提案の撤回に同意した投資家は、企業の進捗状況を把握し、企業がコミットメントを履行しない場合にはエスカレーションを行う用意もすべきとした。また非公開の交渉で行われたコミットメントは公開するよう要求することが望ましいとした。
提出後は、議決権行使助言会社とのエンゲージメントを行うことや、またメディアプランを早期に策定し、関連するすべてのチャネルとの関わりを目指すべきとした。さらに、他社で同じようなテーマで株主提案している他の提案者と協力することも重要とした。株主総会後は、可決と否決のそれぞれを想定し、次のステップも事前に計画しておくべきとした。
【参照ページ】A guide to filing impactful shareholder resolutions
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