機関投資家向け自然資本データプロバイダーNatureAlphaは2月21日、MSCIとの提携を発表した。MSCIは、NatureAlphaの自然資本データ及び分析ツールを同社の顧客に提供していく。
NatureAlphaは、2021年に創業。2022年3月には、欧州の大手企業100社を対象に自然資本リスクを分析・表示した機関投資家向けの分析ツールを発表している。現在は対象企業が、MSCIオールカントリー(ACWI)の組入銘柄、世界約3,000社にまで拡大している。
ツールは、規制、科学論文、企業、政府等の情報源から、ビッグデータとAIを組み合わせ情報を収集し、データベースを構築。国連生物多様性条約や国際自然保護連合(IUCN)等で国際的に合意された目標、規制、生物多様性リスク等もカバーしている。さらに、人工衛星から得られた知見を含め、原生林や生物多様性の状況、過去の喪失に関する情報を毎年提供する機能も搭載している。
さらに2022年3月に、自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)で情報開示ガイドラインのベータ版が公表されると、同5月にはTNFDに対応したツールへと発展させた。EUのサステナブルファイナンス開示規則(SFDR)にも対応している。
2023年1月には、国連環境計画(UNEP)等が参加する生物多様性プロジェクト「IBAT Alliance」が運営する生物多様性リスク測定ツール「IBAT(Integrated Biodiversity Assessment Tool)」とも提携することに成功し、IUCNのレッドリスト、世界保護地域データベース、世界生物多様性重要地域データベース等のデータを「Biodiversity Impact」として提供開始した。
さらに同じタイミングで、同データは、ライフサイクル分析モデルを活用し、企業が製造・使用する製品・サービスの原材料使用から廃棄までの生物多様性フットプリントを評価し、生態系の健全性に与える影響を評価する「BioFootprint」のデータもリリースした。同データは、気候変動、光化学オゾン、海洋酸性化、土地利用、生態系への有害性、富栄養化、水ストレスの7つのインパクトを、売上原単位で比較できるようになっている。
今回のMSCIとの提携では、これまでの関係性を発展させ、研究プロジェクトでも協働。投資家が投資の絶対的または相対的なインパクトを測定するのに役立つ高度なライフサイクル分析手法に基づく生物多様性フットプリント指標の開発等を検討する。
【参考】【国際】TNFD、フレームワークのベータ版初版発行。ダブルマテリアリティを明記(2022年3月17日)
【参考】【国際】生物多様性リスク測定ツールIBAT、大手金融機関含む70社以上が活用。環境リスク評価等に(2019年8月23日)
【参照ページ】NatureAlpha: One of the world's first nature & biodiversity insights platforms for investors
【参照ページ】Launching the world's first nature accounting portal aligned with TNFD
【参照ページ】NatureAlpha collaborates with the Integrated Biodiversity Assessment Tool
【参照ページ】Launch | New MSCI ACWI datasets + Biodiversity footprint
【参照ページ】BioFootprint Biodiversity Footprint dataset launch
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