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【国際】FAIRR、食品加工大手7社の労働条件の悪化と情報開示不足を非難。児童労働も

 機関投資家の食品・小売関連イニシアチブ「Farm Animal Investment Risk and Return(FAIRR)」は2月14日、食品加工世界大手7社へのエンゲージメントの結果、労働条件の悪化や労働力に関する情報開示不足を指摘する報告書を発表した。

 今回の発表は、畜産世界大手7社との労働条件に関するエンゲージメントの結果を発表したもの。同エンゲージメントには、総資産1600億米ドル(約22兆円)の77の投資機関が参加。労働政策を開示し、安定かつ健康的な生産体制を強化することを求めている。今回の調査対象の7社は、米タイソン・フーズ、JBSの米国法人JBS USA、サンダーソン・ファームズ、中国のWHグループ、ブラジルのマルフリグ・グローバル・フーズ、BRF、英Cranswick。

 今回の発表では、まず、大手7社が労働力の充足度や労働条件改善に向けた取り組みに関する情報を開示していないことを指摘。アメリカの食肉加工労働者の求人数は2017年から2021年までに86%増加しており、英国食肉加工協会(BMPA)の会員は必要な労働者の85%しか充足していないと報告する等、畜産業界では労働力不足が大きな課題である。しかし、調査対象7社のうちタイソン・フーズのみが労働力不足を経営リスクとして認識し、それ以外の企業は人手不足の現状や予測、人材の確保と定着のための取り組みに関する情報を開示していないとした。

 また、新型コロナウイルス・パンデミックのピーク時に導入された傷病手当金制度が廃止・弱体化したことを強調。タイソン・フーズは恒久的な制度として導入したが、同社の食肉加工現場の89%を占める非正規雇用者には有給休暇が与えられておらず、サンダーソン・ファームズは、新型コロナウイルス・パンデミックのピーク時に強化した傷病手当金制度を法的な最低要件に戻した。マルフリグ・グローバル・フーズは調査対象の企業の中で最も改善が見られ、苦情処理メカニズム、傷病手当金、雇用形態による労働力の差配、労働者代表組織の4観点での情報開示を強化。残りの4社は情報を開示していない。

 業務の外注先の労働者数に関する指標を公開しているのはWHグループのみ。畜産業の業務は下請けや派遣労働に依存しており、これらの労働者は不安定な契約によって大きなリスクを抱えている。米国労働省の調査では、13歳から17歳までの102人以上の子供に危険な化学薬品を扱い食肉加工装置の洗浄作業を行わせていたことが明らかになった。間接的に雇用する労働者に対してもリスクを考慮する必要性を指摘した。

 JBS USAとタイソンフーズに関しては、最近、下請企業で児童労働に関与していたスキャンダルが発覚したことにも言及した。米労働省は2月17日、8州13ヶ所の食肉加工施設において、米清掃大手パッカーズ・サニテーション・サービスが、13歳から17歳までの子供102人以上を危険な業務に従事させ、夜勤をさせていたと発表。同社はすでに総額150万米ドル(約2兆円)の民事賠償金の支払っている。

 同事案では、同省の調査員が、米清掃大手パッカーズ・サニテーション・サービスが、未成年者が、危険な化学物質を扱い、バックソー、ブリスケットソー、ヘッドスプリッター等の食肉加工機器の洗浄作業を行い、そのうち3人以上が怪我を負っていたことを検知。2022年8月に調査を開始し、2022年11月にネブラスカ州連邦地方裁判所に提訴。即、児童労働を禁止する仮処分を下した。2022年12月に、同社は和解し、2月16日に150万米ドルの民事賠償金を支払っていた。賠償金額は、公正労働基準法が定める上限額で設定され、極めて重い処分を下した。

 同省は、処分の発表の中で、従事していた工場主企業を発表。その中に、JBS USA、タイソン・フーズ、カーギル、Maple Leaf Farms等が含まれていた。 同省は2月27日、2018年以降、同省が処罰した米国内の児童労働が69%増加したと表明。処罰の上限額が低すぎると伝え、さらに牽制していく必要があると伝えている。FAIRRも今回、サプライチェーンの児童労働リスクに警鐘を鳴らした。

【参照ページ】Meat Companies’ Inaction on Working Conditions Contributing to Labour Shortages, Say Investors
【参照ページ】Working Conditions: Unpacking Labour Risk in Global Meat Supply Chains
【参照ページ】MORE THAN 100 CHILDREN ILLEGALLY EMPLOYED IN HAZARDOUS JOBS, FEDERAL INVESTIGATION FINDS; FOOD SANITATION CONTRACTOR PAYS $1.5M IN PENALTIES
【参照ページ】DEPARTMENTS OF LABOR, HEALTH AND HUMAN SERVICES ANNOUNCE NEW EFFORTS TO COMBAT EXPLOITATIVE CHILD LABOR

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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