インド証券取引委員会(SEBI)は2月20日、ESGの発行体情報開示、ESG評価機関の在り方、ESG投資ファンドでのウォッシュ防止に関する新たな規制案を発表。3月6日までパブリックコメントを募集する。SEBIは2022年に、ESG評価機関向けの規制強化案を発表していたが、さらに発行体や投資家までを含む包括的な規制枠組みへと発展させてきた形。
【参考】【インド】証取委、ESG評価機関向け認可制度導入へ。制定されると世界初(2022年1月30日)
発行体向けの規制では、すでに上場企業の時価総額上位1,000社に対しては、企業責任・サステナビリティ報告(BRSR)での指定指標の開示を2021年度は任意要件として設定。175社以上が自主的に開示した。同開示は、2022年度からは義務化されることがすでに決まっている。さらに今回の規制案では、定量測定可能性や重要性を考慮し、BRSRで第三者保証の取得を義務化する項目を特定した。2023年度からは時価総額上位250社、2024年度からは上位500社、2025年からは上位1,000社が義務対象となる。
第三者保証取得義務の対象項目は、具体的には、S分野では、男女別賃金、雇用創出、G分野では関連者間取引の集中度、E分野では二酸化炭素排出量、水消費量、廃棄物発生量等の原単位指標等。またSEBIは、セクター別の開示ガイダンスや、複数セグメントで事業を行う複合企業に対するセグメント別開示等の報告バウンダリーについても検討したが、今回は導入を先送りしたことも明かした。
さらにBRSRでの開示対象を、自社だけでなく、サプライチェーンに関する情報も盛り込む案も発表した。具体的には、2024年からは時価総額上位250社が、「コンプライ・オア・エクスプレイン」型で導入。2025年度からは第三者保証の取得も「コンプライ・オア・エクスプレイン」型で追加導入される。
ESG評価機関に関しては、2022年にESG評価機関の認可制度を設ける案を示していたが、制度設計は現在も続行中。その上で、ESG評価機関の政府評価制度について、インドの文脈に沿ったESG評価を考慮する規定を設ける案を今回発表した。具体的には、インド独自基準の「PAT(Perform Achieve and Trade)」スキームや拡大製造者責任ルールに基づく評価も行うよう規定。グローバル基準との相違点があれば、適切に調整し、注釈を付けることができるとした。また、S文脈では、職場インクルージョンが強く求められることから、女性取締役比率よりも、女性従業員比率を重視するとした。さらに発行体に第三者保証を一部義務化していくことから、評価機関に対しても、評価上で第三者保証されたデータを重視することも必須とした。
ESG投資に関しては、ESG投資手法や実践に関する開示の義務化や、ESGラベル規定までを盛り込んだ。ESG投資手法では、除外(エクスクルージョン)、インテグレーション、ベスト・イン・クラス(ポジティブスクリーニング)、インパクト投資、サステナブル目的の5つを提示した。また、インド信託協会(AMFI)に対し、ESGの3つ各々について、SEBIが設置したワーキンググループが提案する指標に基づいて、ESG評価機関を選定するよう助言した。議決権行使についても、2023年度4月1日以降の株主総会から事案ごとの賛否の開示を義務化する。エンゲージメント件数の開示も盛り込んだ。
さらに、ESG投資を謳うためには、2024年10月1日以降は、第三者保証を受けたBRSRコア指標を開示している企業の構成比を65%以上、残りについてもBRSRコア指標を開示している企業に限定すると規定。但し、1年間は遵守の猶予が付与されるが、その期間中はBRSRコア指標を開示していない企業への新規・追加投資は禁止される。加えて、ESG投資の開示内容と実態に関する第三者保証の取得も2023年4月1日から「コンプライ・オア・エクスプレイン」型で、2024年4月1日からは完全義務化する。同時に2023年4月1日から内部ESG監査の証明書発行も義務化する。
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