【フランス】米仏韓連合、ケミカルリサイクル工場建設で協働。廃プラを再生PET樹脂に

　仏環境サービス大手スエズ、韓国SKイノベーション傘下のSKジオセントリック（SKGC）、米再生プラスチック開発ループ・インダストリーズの3社は2月16日、フランス・サンアボルドでのケミカルリサイクル・プラント建設で協働すると発表した。

　同プラントは、フランスの「サンアボルド・ケメシス産業プラットフォーム」に設立予定。回収した廃プラスチックから、再生PET樹脂を年間7万t生産。それを加工し、再生PET（rPET）及び再生ポリエステル繊維を生産する。2025年に着工し、2027年の稼働開始予定。

　同プロジェクトでは、合計4.5億ユーロ（約643億円）の投資を行い、200名の新規雇用を直接創出する見込み。仏エコロジー転換省、グラン・エスト地域、サンアボルド・シナジー地域コミュニティ等も支援しており、地域産業基盤の活性化を狙う。

　同プラントでは、ループ・インダストリーズの解重合技術を活用することで、焼却や埋め立てに回される原料を、バージン品質のPETにアップサイクルが可能。同プラントがフル稼働した場合、化石燃料由来のバージンPET樹脂比で、二酸化炭素排出量を年間25.5万t以上削減できる見込み。

　スエズは、欧州プラスチック市場に関する知見や、企業とのパートナーシップ、インフラの活用による原料回収・選別・準備を行う。SKGCは石油化学プロセスの知見を提供する。

　SKジオセントリックは、2021年に旧・SK総合化学が社名変更した企業。プラスチックのリサイクルを主力事業モデルとして打ち出している。今回のプラント建設は、同社にとって初の欧州でのプラスチックリサイクル工場となる。

　SKジオセントリックは、韓国・蔚山広域市でも、ループ・インダストリーズと協働し、プラスチックのケミカルリサイクル工場「Infinite Loop」を共同建設している。2023年に着工予定。さらに、2022年7月には、仏ヴェオリアとの提携を発表し、中国、日本、東南アジア市場をターゲットとしたプラスチックのマテリアルリサイクルとケミカルリサイクル双方での市場参入計画も公表している。

　加えてSKジオセントリックは1月には、同じくケミカルリサイクル技術を持つ英プラスチック・エナジーとの間で技術導入契約を締結。蔚山広域市の廃プラスチックリサイクル工場に、熱分解プラントを設置すると発表。2025年までにアジア最大規模の年産6.6万tの廃プラスチックを処理する考え。さらに、蔚山広域市のリサイクル工場の正式名称を「蔚山先進リサイクルクラスター（ARC）」に確定。同社が「世界三大ケミカルリサイクル技術」と呼ぶ米国のピュアサイクルテクノロジー（PCT）、カナダのループ・インダストリーズ、英国のプラスチックエナジーとの戦略的提携により、3つの技術全てがARCに集結すると誇った。

　同社は1月には、オランダのコントロール・ユニオンから、再生プラスチック認証の「GRS認証」も取得。GRSは、再生原料を20%以上使用し、実際の使用履歴をトラッキングできる製品に与えられる国際認証で、社会・環境・化学的な基準への適合性もチェックされる。すでに一部の消費財世界大手が、GRS認証を調達基準として示してきているという。

　また、Infinite Loopは2020年、スエズとループ・インダストリーズも欧州での建設を発表している。

【参考】【ヨーロッパ】Loop Industriesとスエズ、欧州最大のペットボトルのケミカルリサイクル工場建設。年間42億本 （2020年9月27日）

【参照ページ】SUEZ, Loop Industries and SK Geo Centric announce selection of Saint-Avold, in the Grand Est region of France, as the site to manufacture virgin-quality PET plastic made from 100% recycled content and infinitely recyclable by leveraging the Infinite Loop technology
【参照ページ】SK지오센트릭, 프랑스 환경기업 베올리아社와 맞손 “아시아 시장 순환경제 사업 공략 나선다”
【参照ページ】SK지오센트릭, 플라스틱 에너지(Plastic Energy)社와 계약… 美 CES서 ‘울산 ARC’ 밑그림 완성
【画像】SK Geo Centric

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