英金融当局のFCA(金融行為規制機構)は2月3日、運用会社のCEOに対し、ガバナンス強化を要求する監督書簡を送付した。ESGラベリングに関する内容も含まれている。
英国の運用会社は、大手機関投資家から小規模な個人投資家まで、英国及び世界のクライアントのために約11兆ポンド(約1,800兆円)の資産を運用。運用会社数は約1,000社に上る。FCAは運用会社に関する監督書簡を2020年1月にも発出していたが、今回の監督書簡はそれに替わるものとなる。
FCAは今回、一部の運用会社が、重大なリスクの軽減や顧客パフォーマンスのための努力を怠っており、根本的な原因は、ガバナンスにあると指摘。今回の規制サイクルでは、損害を特定、検討、軽減するためのガバナンスの有効性を評価することに焦点を当てたと説明した。その上で、監督上の優先事項として、「ESG投資」「プロダクトガバナンス」「プロダクト流動性マネジメント」「オペレーションとレジリエンス」「財務レジリエンス」の5つを挙げた。
まずESG投資に関しては、2021年に発出した指導原則や、2021年に発出された運用会社の気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)に基づく開示義務が2023年6月から適用されることに触れた上で、現在策定中の「サステナビリティ開示要件と投資ラベル」の規定を最終決定しに行く方針を発表。特に、情報開示、商品開発、投資プロセスのいずれでも、ガバナンス機関の構成や活動内容に重点を置くと表明した。
【参考】【イギリス】FCA、ESGテーマファンド運営の運用会社に情報開示の指導原則発布。現状に苦言(2021年7月20日)
プロダクトガバナンスでは、2021年の価値評価レビューの結果をフォローアップし、リテール投資家向けの商品設計や情報開示に異常がないかの監督を強化。2022年6月にFCAが導入した「新消費者責務」に基づく遵守状況をチェックする。2024年には、消費者責務のレビューを行い、価格と価値に焦点を当てた責務の定着度を評価するとした。
プロダクト流動性マネジメントでは、オープンエンドファンドでは、投資家の解約条件と、解約要求に応えるためにファンド資産を清算するのに必要な時間との間に、流動性のミスマッチが生じる可能性があると指摘。FCAとしては、特に、MMF、流動性ミスマッチが大きいファンド、ノンバンク金融セクターからのリスク伝達のレジリエンスでの対策を強化する考え。
オペレーションレジリエンスでは、運用会社の取引先のサイバーセキュリティに関する責務の明確化を、財務レジリエンスでは、運用会社自身が経営破綻するリスクが生じていることを踏まえ、破綻防止措置に関する「投資会社プルーデンシャル・レジーム」要件の実施に関する初期初見を2023年上半期に公表するとした。
【参照ページ】Our Asset Management Supervision Strategy
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