国際環境NGO世界自然保護基金(WWF)は2月16日、スコープ3の二酸化炭素排出量算出で、製品レベルの算出手法のばらつきにより、企業での適切な算出や削減が妨げられる可能性があると問題提起した。
今回のレポートは、GHGプロトコルに則ったとしても、原材料のスコープ3算出をする際に、ルールが明確になっていない要素が多く、排出量に大きな乖離がみらえるとした。特にサプライチェーン上での排出が全体に占める割合が大きい食品業界では特に深刻とした。
例えば、原材料生産での土地利用変化からの排出量を含めるか否かについては、長年論争が続いてきた。だが、ようやく科学的根拠に基づく削減目標イニシアチブ(SBTi)が2022年9月に「森林・土地・農業(FLAG)」ガイダンスを発行し、含めるべきとの結論に達した。
【参考】【国際】食料・農業向けの脱炭素目標設定ルールが登場。SBTiは事業者向け、B4ICAは銀行向け(2022年12月3日)
また、原材料の割当ルールでは、経済価値、エネルギー含有量、重量のいずれかで配分することが一般的だが、経済価値配分と重量配分では10倍以上も算出量に差が出る事例も紹介。各社が最も自社への割当が小さくなる手法を採用した場合、システム全体で大きな未算出分が発生してしまうことを問題視した。
さらに一次データと二次データの活用の違いが大きな差につながることもあり、農産物の場合、異なる方法で生産された同じ製品のインパクトは、10倍から100倍にもなるという。
そこでWWFは今回、サプライヤー間の比較、企業の目標設定、削減ポテンシャルの把握の観点から、算定基準の統合や標準化ツールの活用、業界内での事前の取極め、算出方法の詳細開示等が重要となると提言した。
【参照ページ】New WWF Analysis: Greenhouse Gas Accounting Efforts Undermined by Disparate Tools & Frameworks
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