経済産業省、金融庁、環境省は2月21日、「官民でトランジション・ファイナンスを推進するためのファイナンスド・エミッションに関するサブワーキング」を2月1日に開催し、ファイナンスド・エミッションに関する課題提起ペーパーをとりまとめたと発表した。
今回のサブワーキングは、日本政府が2月10日に閣議決定した「GX実現に向けた基本方針」に基づくもの。同方針では、「特に、GFANZ(Glasgow Financial Alliance for Net Zero)傘下の金融アライアンスに賛同する投資家・金融機関は、2050 年までにファイナンスド・エミッション含めて自社の排出量をネットゼロとすることが求められており、開示方法等によっては、自らのファイナンスド・エミッションを増加させる多排出産業に対する資金供給を躊躇することともなりかねない。このため、ファイナンスド・エミッションに関する国際的な算定・開示方法等を踏まえつつ、トランジション・ファイナンスが積極的に評価されるための枠組みの検討を進める」という文言を盛り込んでいた。
同サブワーキングの委員企業は、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)、三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)、みずほフィナンシャルグループ、日本生命保険、第一生命保険、東京海上ホールディングス、アセットマネジメントOne、野村アセットマネジメント、BofA証券、野村総合研究所の10社。
同サブワーキング発足の狙いは、多排出産業への資金供給によって一時的にファイナンスド・エミッションが増加する可能性を懸念し、多排出産業に対する投融資を控える行動が生じ得るという課題に対処することにある。経済産業省は、重工業や火力発電でカーボンニュートラルではなく低炭素型の分野を重視しており、この分野に民間の金融機関の投融資を促すためには、ファイナンスド・エミッションを削減させるというGFANZ等の国際潮流が阻害要因になるとみている。打開策として、今回、金融機関の巻き込みを始めた形。
同ペーパーでは、短期的なファイナンスド・エミッションの削減を求めないことを、G7やG20等に訴えていく方針を掲げた。具体的には、政府間協議での問題提起や、PCAF、TCFD、ISSB、GFANZ等の民間主導の議論の中で金融機関が問題提起をしていくことを確認した。
【参照ページ】官民でトランジション・ファイナンスを推進する上でのファイナンスド・エミッションに関する課題提起ペーパーを取りまとめました
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