電子機器世界大手韓国サムスン電子は2月16日、粒子状物質(PM)と揮発性有機化合物(VOC)を捕集・分解し、簡単な水洗いで20年間使用できる新しいエアフィルター技術を発表した。同技術に関する研究は2月15日、学術誌「Nature Communications」にも論文として掲載された。
従来の空気清浄機のフィルターでは、半年から1年という短いサイクルでの交換が必要だった。加えて、1枚のフィルターで粒子状物質(PM)か揮発性有機化合物(VOC)のどちらかしか除去できず、空気清浄機の空間効率に限界があった。
同社の研究開発部門サムスン高等技術院(SAIT)は、酸化銅(Cu2O)や二酸化チタン(TiO2)等の光触媒を応用したフィルター技術を初めて開発・実用化。商業化の可能性を検証した。
同技術ではまず、無機膜がコーティングされた入口流路の多孔質セラミック壁で粒子状物質(PM)を捕集。出口流路の光触媒上で揮発性有機化合物(VOC)ガスを分解する。ダスト保持量は、ダスト用とガス用の2種類のフィルターを組み合わせることで、従来の5g/Lから20g/Lと4倍に向上させた。
また、SAIT開発のCu2O/TiO2光触媒は不溶性のため、簡単な水洗いでフィルターを再利用でき、当初ので粒子状物質(PM)及び揮発性有機化合物(VOC)除去性能は維持できる。例えば水洗いで10回再利用した場合、20年間使用可能。製品寿命は、従来のHEPAフィルター比で約40倍。使い捨てフィルターの廃棄物や交換によるコストの大幅削減が可能となる。
同社は今後、半導体工場内のオフィスビルやバスターミナル、地下駐車場等の空調設備向けに試作し、評価を進めていく。
【参照ページ】Samsung Introduces Easily Regenerable Air Purification Filter Technology Applying Photocatalysts
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