持続可能な発展を目指すグローバル企業団体WBCSD(持続可能な開発のための世界経済人会議)は2月14日、過去10年間にESG関連での企業向け訴訟数が急増しており、法的管轄権の範囲がサプライチェーン下流にまで拡大しているとの調査結果を発表した。
ESG関連での対企業訴訟は、過去30年間で25%増加。具体的には、子会社やサプライヤー起因での訴訟、政策や規制に基づく善管注意義務に関連したデューデリジェンス要件違反での訴訟、生物多様性条約やOECDガイドライン等のソフトローに基づく訴訟等が増加していると分析した。
法的状況の拡大では、公的機関や規制当局の監視強化とともに、取締役会によるガバナンスの確保、リスク管理、事業レジリエンスの向上等、考慮しなければならない分野が広がっているとした。
WBCSDは、サプライチェーンの重要性と、法的リスクを検討する必要性を示す事案として、フランスが同国の大企業に対しサプライチェーンの環境・人権デューデリジェンスを義務化した2017年2月制定の「デューデリジェンス法(law on the duty of vigilance)」を例示。重大な法的リスクは、自社事業を超えたサプライチェーン上で発生し得ると強調した。
【参考】【フランス】Sherpa、「環境・人権デューデリジェンス法」遵守ガイダンス発行。大企業の法的義務対応(2019年2月15日)
またESG関連訴訟の増加の背景には、法律家が新しい法的枠組みや解釈の中で「ダブルマテリアリティ」を考慮するようになってきていることがあると分析。法的リスクエクスポージャーの低減するには、子会社やサプライヤーを含め、企業が環境・社会に与えるインパクトや依存関係を評価し、開示する必要があるとした。
【参照ページ】The rise in ESG lawsuits highlights the need for companies to evaluate supply-chain risks
【レポート】Uncovering trends: What is behind the increase in ESG-related litigations?
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