持続可能な発展を目指すグローバル企業団体WBCSD(持続可能な開発のための世界経済人会議)は2月15日、廃水ゼロ達成に向けた行動フレームワークの最新ガイダンスを発行した。廃水ゼロにコミットメントした企業に対し、定量的、定性的な目標に対し毎年進捗報告をすることを義務付けた。
WBCSDは2020年9月、企業向けに「廃水ゼロ」を提唱。世界の廃水の80%は処理されずに、環境中に放出されていることから、淡水の生物多様性、気候変動、水の安全保障に悪影響を及ぼすと警鐘。企業に対し、すべての産業排水の処理、水の再利用とリサイクルの増加、低炭素な処理プロセスを促している。
また、WBCSDは2021年6月、CDP、国連人間居住計画(UN-HABITAT)とともに、「廃水ゼロ・コミットメント」を企業に促すことも発表。企業へのエンゲージメントを通じて、2030年までに廃水汚染をなくすための枠組みを提供している。2022年4月には、廃水対策アクションの先進企業として、アパレル世界大手スウェーデンH&M、化学世界大手印UPL、エネルギー世界大手米シェブロンを発表していた。
【参考】【国際】WBCSD、廃水ゼロの先進企業発表。H&M、UPL、シェブロン。アクション加速(2022年5月3日)
今回の発表では、これまで発表していたガイダンスの詳細化に加え、具体的な目標設定方法と報告・開示に関するガイダンスを強化した。目標設計では、自社の施設とサプライヤーに関してコンプライアンス重視型の目標設計から、インパクト重視の目標設計まで4段階の設定方法を定めた。収集するデータは環境情報開示を推進する国際NGOのCDPの要件を採用し、今回のフレームワークとの対応表を提供した。
情報の報告・開示では、WBCSDはCDPのデータを活用して評価するとし、同イニシアチブに加盟する企業に対して、CDPの水の安全性に関する質問要件を公開として回答することを求めた。加盟企業は、2023年4月から7月までの年次報告期間において、CDPに対して年単位でのデータと目標達成の進捗を報告する必要がある。さらに、企業のサステナビリティレポート、企業ウェブサイトを通じて、報告したデータや進捗状況を開示することを推奨した。
年間売上が2.5億ユーロ(約358億円)以下の中小企業に対しては、現在CDPに回答していなくても水の安全性に関するアンケートの簡易バージョンに回答することを推奨し、それ以上の大企業については完全版に回答することを求めた。
【参照ページ】Wastewater Zero Commitment: Guidance document
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