ユニリーバの同社インド法人ヒンドゥスタン・ユニリーバと国連開発計画(UNDP)では2月3日、インドでのプラスチックのサーキュラーエコノミー化プロジェクトを開始したと発表した。家庭ごみの回収・リサイクルに従事するインフォーマルセクター労働者の社会保障へのアクセス拡大を進める。
インドでは、毎年1,500万tの廃プラスチックが発生しているが、リサイクルされているのはわずか4分の1程度。その背後には、廃棄物の回収・分別に従事するインフォーマルセクターの労働者「サファイ・サーティ」が全国に400万人いると言われており、労働慣行は決してよいとは言えない状況にある。
特に新型コロナウイルス・パンデミックの影響も大きく、廃棄物回収現場では、使用済みのマスクや感染防止資材(PPE)等が紛れており、感染リスクが高いとともに、廃棄物の買い手側も調達を躊躇し、収入が減少。さらにサファイ・サーティは、インフォーマルセクター労働者の状態のため、政府から国民識別番号「アーダール」が取得できず、当然、食事バウチャーや雇用保険を含めた社会保障も受けられない状況にあった。
そこで、UNDPインド事務所は2020年10月、プロジェクト「Utthaan」を始動。政府との協議も含め、サファイ・サーティが、アーダール取得できるよう支援。2021年6月時点で、アーダールを受け取れたサファイ・サーティは9,000人に達した。さらに、2021年3月には、UNDPインド事務所は、日本政府、ゴア州パンジム市、HDFC銀行の支援を受け、ゴア州で初の社会保護円滑化センターを発足。サファイ・サーティ約150人のワクチン接種も支援した。
さらに、ヒンドゥスタン・ユニリーバとUNDPは2022年2月、プロジェクト「Utthaan」の第2弾を始動。サファイ・サーティのニーズ調査を行い、政府向けの申請書作成を支援。最終的に食料、健康、安全、セキュリティ、金融を含む社会的保護スキームへのアクセスが改善された。
また、プラスチックの回収・分別では、インド住宅都市省、ヒンドゥスタン・コカ・コーラ・ビバレッジ、ヒンドゥスタン・ユニリーバ、HDFC銀行、コカ・コーラ・インド財団等が協働し、サファイ・サーティが回収した廃プラスチックの活用が進められている。ヒンドゥスタン・ユニリーバだけでも、ムンバイに3つのSwachhta Kendra(廃棄物を収集・分別し、リサイクルに回すための施設)を建設し、8,000tのリサイクルを実現。この実証では、サファイ・サーティとその家族3,300人がアーダールを取得することができ、プロジェクトで活躍したサファイ・サーティのうち75%が女性だったという。
今回のプロジェクトは、支援対象のサファイ・サーティの人数を一気に20,000人に拡大。サファイ・サーティのインクルージョンとしてはインド史上最大となる。現在、UNDPインド常駐代表を務めるのは日本人の野田章子氏。また、在インド日本国大使館も引き続きUtthaanを支援している。
【参照ページ】Hindustan Unilever and UNDP India launch plastic circular economy project
【参照ページ】Safai Saathis — the invisible environmentalists
【参照ページ】Creating a Life of Dignity for the Safai Sathis of India
【参照ページ】HUL & UNDP launch Utthaan to improve lives of waste pickers
【画像】Unilever
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