化学世界大手英リンデは1月31日、米カリフォルニア州オンタリオでグリーン水素の生産能力を増強する計画を発表した。モビリティ需要に応える。今回の発表では、5MWのPEM(プロトン交換膜)電解槽を新設、所有、運用する。稼働開始は2024年後半を予定。これにより既存の設備と合わせ、二酸化炭素の削減貢献量は年間最大75,000t。
同社は1月6日には、米南東部を中心にガス・溶接材料を販売する独立系大手nexAirの買収も発表。リンデの完全子会社リンデ・ガス&エキップメント(LG&E)を通じて保有していた持分を増やし、今回77.2%を取得。完全子会社化した。米国南東部ではガス需要が急増しており、需要に応える。同社はガス事業を拡大しつつ、その先の水素・アンモニア事業を睨む。
同社は、2022年10月には海底油田掘削会世界大手米SLBとの間で、炭素回収・貯留(CCS)プロジェクトで協働することも発表。水素・アンモニア製造、天然ガスの処理工程で発生する二酸化炭素の回収に注力する。
両社は、炭素回収・貯留(CCS)技術、プロジェクト開発に関する専門的知見、エンジニアリング、調達・建設能力を共有。顧客へのリーチ拡大と、ビジネスモデル・オペレーションモデル設計に注力する。
国際エネルギー機関(IEA)は、2050年までにカーボンニュートラル(二酸化炭素ネット排出量ゼロ)達成には、炭素回収・利用・貯留(CCUS)を通じた年間6t以上の二酸化炭素排出量削減が必要と分析。2021年11月の発表でも同分野の進捗状況は、さらに努力が必要なものの、悪くはないと評価している。
一方2022年9月には、米エネルギー経済・財務分析研究所(IEEFA)が、世界の炭素回収・利用・貯留(CCUS)プロジェクト13件の稼働状況を分析した報告書を発表。ほとんどのプロジェクトが想定されたパフォーマンスを下回っていることも明らかになった。カーボンニュートラルに向けた手段としてリスクが高い投資とも警鐘を鳴らされている。
【参考】【国際】IEA、2050年カーボンニュートラルに向けた産業転換を点検。46分野のうち26分野で大きな遅れ(2021年11月9日)
【参考】 【国際】世界のCCUSプロジェクト、稼働パフォーマンス低く投資リスク高い。IEEFA調査(2022年9月28日)
【参照ページ】Linde to Increase Green Hydrogen Production in California
【参照ページ】Linde and SLB Collaborate on Carbon Capture and Sequestration
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