英環境シンクタンクNGOプラネット・トラッカーは1月10日、グリーンウォッシュに関する分類レポートを発表した。グリーンウォッシュを分析し、6タイプに分類。巧妙な手口が増えてきていると警鐘を鳴らした。
同報告書では、グリーンウォッシュには、「グリーン・クラウディング」「グリーン・ライティング」「グリーン・シフティング」「グリーン・ラベリング」「グリーン・リンシング」「グリーン・ハッシング」の6種類があるとし、それぞれの事例も紹介した。
グリーン・クラウディングは、多くの情報に紛れさせることで発見されることを回避する方法。同組織が海洋プラスチック削減のための企業連合NGO「Alliance to End Plastic Waste(AEPW)」を調査した2022年8月の報告によれば、APEWは発足後3年間で世界で発生するプラスチックの0.0004%以下しかリサイクルをしておらず、アライアンスに加盟する使い捨てプラスチックの生産企業上位10社は自社のプラスチック廃棄物の99.99%をリサイクルしていない。署名した企業の数、累積の投資額等大きな数字に惑わされず、注意深くモニタリングする必要性を訴えた。
グリーン・ライティングは、環境破壊的な活動から目を背けるために、小さくても環境に優しい特徴を積極的に取り上げる企業のコミュニケーション方法のこと。2021年にトタルエナジーズが社名変更を行った際に、気候変動の課題に対応することを宣言するようなキャンペーンをツイッター上で展開。しかし、石油生産の維持とガス生産の増加を計画しているため、欧州不公正商慣習指令違反として提訴された。
グリーン・シフティングは、企業が消費者に責任転嫁する発信方法。シェルが消費者に対して二酸化炭素排出量削減のための行動を問うメッセージを発信したことや、エクソンモービルが気候変動に対する影響を認識していたにも関わらず「消費者」「需要」「エネルギー効率」と表現し、対策の責任を消費者に責任転嫁する発信方法を例に挙げた。
グリーン・ラベリングは、マーケティング担当等が誇張表現することでグリーンやサステナブルのように謳われているが、実際は誤解を招く不正確な発信方法。SJジョンソンとKLMオランダ航空を例に、「バイオ」「自然由来」「ナチュラル」「グリーン」「エコフレンドリー」等の用語が利用されることが多く、用語の定義が不透明なものが多いとした。
グリーン・リンシングは、企業が達成不可能なESG目標を掲げ、見せかけだけの姿勢を示して相手を騙す方法。同NGOは以前から、コカ・コーラ・カンパニーとペプシコのプラスチック・サーキュラーエコノミー目標を例に挙げ、頻繁に目標を引き上げたり、前倒ししたりしている姿勢を問題視している。
グリーン・ハッシングは、企業経営陣がサステナビリティに関する情報を隠したり、過小報告をすること。最低限の成果やマイルストーンのみを公表し、科学的根拠に基づく削減目標イニシアチブ(SBTi)等の要求事項を超えた内容は発表しないことを指す。運用会社がEUサステナブルファイナンス開示規則(SFDR)に基づく9条ファンド登録を8条ファンド登録に移行する動きも、第9条基準での厳格な調査を避けるための行為との解釈を示した。
【参考】【EU】運用会社、SFDRの解釈巡る混乱続く。9条ファンドから8条ファンドへの登録転換相次ぐ(2022年12月23日)
【参照ページ】GREENWASHING GROWING INCREASINGLY SOPHISTICATED, SAYS PLANET TRACKER
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