米司法省は1月24日、カリフォルニア州、コロラド州、コネチカット州、ニュージャージー州、ニューヨーク州、ロードアイランド州、テネシー州、バージニア州の司法長官とともに、シャーマン法第1条および第2条に違反して複数のデジタル広告テクノロジー製品を独占しているとし、グーグルをバージニア州東部地区連邦地方裁判所に民事で提訴した。
米司法省が競争法で同社を提訴するのは、2020年10月に続き2回目。前回は、インターネット検索・広告市場を対象に提訴。今回は8州も原告側に加わった。
【参考】【アメリカ】司法当局、フェイスブックとグーグルを競争法違反で提訴。市場で独占的地位(2020年12月14日)
訴状では、グーグルが、「アドテク・スタック」と総称される主要デジタル広告技術を独占していると主張。米国民を代表する衡平法上の救済と、ウェブ表示広告の過払いによって連邦政府機関が被った損害に対する3倍賠償の双方を要求した。米国での懲罰賠償制度である3倍賠償が民事反トラスト法事案で成立すると、約50年ぶりの事態となる。グーグルと親会社アルファベットは、米カリフォルニア州マウンテンビューに本社を置くが、法人登記はデラウェア州のため、バージニア州東部地区連邦地方裁判所が管轄裁判所となる。
同省は今回、グーグルが市場を支配している様子を図示。ウェブサイト上の広告を販売するために使用するデジタルツール「Publisher Ad Server(DoubleClick for Publishers;DFP)」では市場シェア90%以上、広告主の広告在庫の購入を支援する広告主ツール「Advertiser Ad Network」では市場シェア80%以上、また「DSP」では市場シェア40%以上、双方をリアルタイムでマッチングするオークション・プラットフォーム「Ad Exchange(AdX)」では市場シェア50%以上とした。
その上で、優越的地位を利用した濫用の事案としては、競合他社の買収、ツール導入の強制、オークション競争での操作等を挙げた。そして、同社は、違法な独占の結果、デジタル広告テクノロジーを通じて流れる広告費の平均30%以上を自社の収益としているとの推定内容も伝え、代替技術を抑制し、出版社、広告主、ライバルが採用することを妨げているとした。
訴状での具体的な要求事項は全部で10個。AdXとDFPの分割も含まれている。
- グーグルが、シャーマン法第2条に違反し、米国におけるパブリッシャー広告サーバー市場を独占する違法な行為を行ったと認める判決
- グーグルが、シャーマン法第2条に違反し、米国における広告交換市場を独占する、またはそれに代わるものとして独占しようとする違法な行為を行ったと認める判決
- グーグルが、シャーマン法第2条に違反し、米国における広告主広告ネットワーク市場を独占する違法な行為を行ったと認める判決
- グーグルが、AdXとDFPを抱き合わせたことは、シャーマン法1条および2条に違反する行為とする判決
- 損害賠償の裁定
- 少なくとも、グーグルのDFPとAdXの両方を含むGoogle Ad Managerスイートの分割と、必要な構造的救済の命令
- グーグルが、訴状で記載された反競争的慣行を継続的に行い、異議を申し立てられた慣行と同じ目的および効果を持つ他の慣行に従事することの差止め
- グーグルの違法行為によって影響を受けた市場の競争条件を回復するために必要かつ適切なその他の暫定的または恒久的な救済
- 裁判所が正当かつ適切と認める追加の救済
- 各原告に対し、本訴訟の提起に伴い発生した合理的な弁護士報酬を含む費用に相当する金額の支払い
【参照ページ】Justice Department Sues Google for Monopolizing Digital Advertising Technologies
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