世界経済フォーラム(WEF)は1月19日、中国、インドネシア、日本、スペイン、米国の主要工業地帯9地域が、WEFのイニシアチブ「Transitioning Industrial Clusters towards Net Zero」に加盟したと発表した。加盟数は合計17となった。全工業地帯の総従業員数は270万人以上、年間GDPは2,180億米ドル(約28兆円)、二酸化炭素の総排出量はトルコの年間排出量と同等の4.5億tとなった。
Transitioning Industrial Clusters towards Net Zeroは、2021年の第26回気候変動枠組条約グラスゴー締約国会議(COP26)で発足。ナレッジパートナーとしてアクセンチュアと米電力研究所(EPRI)が加わっている。初期加盟は、英ゼロカーボン・ハンバー、英ハイネット・ノース・ウェスト、オーストラリアのクウィナーナ産業会議、スペインのバスク・ネットゼロ・インダストリアル・スペキュタクラーの4つ。2021年5月に、オランダのブライトランズ・サーキュラー・スペース、米国のH2ヒューストン・ハブとオハイオ・クリーン水素ハブ・アライアンス、ベルギーのアントワープ・ブルージュ港が加盟した。
【参考】【国際】欧米の4工業地帯、世界経済フォーラムのネットゼロ転換イニシアチブ加盟。勢い加速(2022年5月26日)
同イニシアチブに加盟したのは、まず、スペインのアンダルシア・グリーン水素バレー。整備された電力網、豊富な再生可能エネルギー、陸海空で良好な輸送経路を持つアンダルシアで最大のグリーン水素プロジェクトの実施を目指す。
次に、同じくスペインのカナリア諸島産業クラスター。大規模な太陽光発電と風力発電を利用し、持続可能な航空産業と輸送のハブになることを目指している。
3つ目は、米国のグレーターセントルイス&イリノイ州クリーン水素ハブ産業クラスター。同地域の産業部門の脱炭素化、水素の製造と産業育成を目指し、官民が連携している。
4つ目は、インドネシアのインド太平洋ネットゼロバッテリー資源コンソーシアム(INBC)。インドネシア国内やイギリスのギガファクトリー向けの低炭素なバッテリー資源を保持し、スラウェシ州をリードする工業団地を立ち上げることを目指す団体。
5つ目は、インドネシアのチカラン州にあるジャベカ・ネットゼロ産業クラスターも加盟。太陽光発電パネル、バイオマス発電、水素ソリューションの提供を行う。
6つ目は、日本の川崎ゼロ・エミッション工業団地。石油・化学、鉄鋼、電力等の産業が集積し、水素の普及、リサイクル、地域エネルギーの最適化等に取り組む。日本では初めての加盟となった。
7つ目は、米国の首都水素センター。ワシントンDC、メリーランド州、バージニア州でクリーンエネルギー移行を促進し、米国全体で水素ソリューションの支援を行う。
8つ目は、中国のオルドス・エンビジョンネットゼロ工業団地。内モンゴル自治区でバッテリー製造、エネルギー貯蔵、電気自動車(EV)、太陽光発電、グリーン水素のサプライチェーンを統合し、再生可能エネルギーが80%以上普及している。分散型分散型台帳技術(DLT)を活用したサプライチェーン全体のエネルギーのトレーサビリティを確保するシステムの提供を行い、地域産業のカーボンニュートラルを支援。
最後が、中国の三江新工業団地。中国EV・EVバッテリー大手寧徳時代新能源科技(CATL)の四川工場をモデルとしたバッテリー製造地帯であり、グリーン電力、エネルギー管理のスマート化、輸送のグリーン化等、サプライチェーン全体でのカーボンニュートラル達成を目指す。
また、同イニシアチブは1月19日、工業地帯のカーボンニュートラル達成に向けた戦略をまとめた報告書を発表。加盟機関のナレッジを抽出し、「パートナーシップ」「政策」「資金調達」「技術」の4テーマについての提案とケーススタディを紹介した。
【参照ページ】Decarbonization of Industrial Clusters Initiative Gains Global Momentum
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