経済産業省と国土交通省は1月13日、洋上風力発電に関するセントラル方式の一環として、エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)が2023年度に実施予定の調査対象区域について、「北海道岩宇・南後志地区沖」「北海道島牧沖」「北海道檜山沖」の3区域を選定したと発表した。都道府県からの情報提供と第三者委員会における意見を踏まえ決定した。
従来、洋上風力発電プロジェクトの検討では、再エネ海域利用法に基づき、都道府県が海域での発電ポテンシャルの調査や自然環境影響調査等を行い、さらに地元の漁業事業者をはじめとした関係者との調整も済ませた上で、経済産業省に申請し、経済産業省で促進区域として指定するという手続きとなっている。実際には、各地で洋上風力発電プロジェクトを企画する事業者が、種々の調査を行い、都道府県に提出するという流れとなっている。
しかし、この手続では、複数の事業者が同一海域で重複した調査を実施するという非効率の他、地元漁業における操業調整等の負担が重く、案件形成が順調に進んでいない。日本政府は2020年12月に策定した「洋上風力産業ビジョン(第1次)」の中で、案件形成の初期段階から政府が主導的に関与し、より迅速・効率的に調査等を実施する仕組みとして「日本版セントラル方式」の確立を掲げ、2022年に検討が本格化。2022年度には、エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)法も改正され、JOGMECの業務に洋上風力発電に関する地質構造等の調査業務が追加された。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)も、「洋上風力発電の地域一体的開発に向けた調査研究事業」を通じ、効率的に案件形成を行う手法を確立に向けた調査を行っていた。
今回のセントラル方式による調査区域指定では、対象区域における調査活動の実施により操業上の調整が生じる漁業事業者や航路等の影響があることから、調査を実施することに対する理解が得られていることを前提条件に都道府県から情報提供を受け付けた。一方、JOGMECは調査人員や予算に制約があることから、今後はJOGMECの人員と予算がボトルネックになる可能性もある。
【参照ページ】2023年度に実施予定の洋上風力発電に関するセントラル方式による調査対象区域を選定しました
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