米環境保護庁(EPA)は1月6日、国防権限法(NDAA)に基づく有害物質排出目録(TRI)リストに、9種類のパーフルオロアルキル物質(PFAS)を追加したと発表した。2023年のTRI報告分から報告が義務化される。
今回の制度は、前トランプ政権時代の2020年に改正された国防権限法(NDAA)によるもの。同法では、180種類のPFASをTRIの対象化学物質リストに即刻追加し、将来的に他のPFASも自動的に追加できる規定を設け、2021年から報告が義務化されている。
【参考】【アメリカ】EPA、PFAS報告でのデミニマス免除ルールを撤回へ。事業者の報告義務強化(2023年1月4日)
まず、TRIリストへの追加対象としてすでにEPAが特定していたが、事業者機密情報(CBI)の申請があり、追加が留保されていたもののうち、製造メーカーが以前の当局への報告で機密扱いと主張していなかったことが発覚した4種類についてCBI指定を解除し、今回追加された。
- アルコール, C8-16, γ-ω-パーフルオロと、1,6-ジイソシアナトヘキサン, グリシドール, ステアリルアルコールの化合物
- アセトアミド, N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-、2-[(γ-ω-パーフルオロ-C4-20-アルキル)チオ]誘導体
- 酢酸、2-[(γ-ω-パーフルオロ)プロピル]-、2-[(γ-パーフルオロ)チオ]誘導体、酢酸、2-[(γ-ω-パーフルオロ-C4-20-アルキル)チオ]誘導体、2-ヒドロキシプロピルエステル
- アセトアミド, N-(2-アミノエチル)-、2-[(γ-ω-パーフルオロ-C4-20-アルキル)チオ]誘導体と、N1,N1-ジメチル-1,3-プロパンジアミン、エピクロロヒドリン、エチレンジアミンとのポリマー、酸化物
また、新たに毒性値を確定し、追加対象となったものが5種類ある。なお、PFBAとPerfluorobutanoateは管理番号の違う2つが掲載されている。
- PFBA
- パーフルオロブタン酸
- パーフルオロブタン酸アンモニウム
- パーフルオロブタン酸カリウム
- パーフルオロブタン酸ナトリウム
EPAは、1月4日には、EPAの国家PFAS試験戦略に基づき、PFASの一つであり、プラスチックの製造に使用されているトリフルオロ(トリフルオロメチル)オキシラン(HFPO)について、試験を義務付ける有害物質規制法(TSCA)試験命令を発出。これにより該当メーカーに対し、試験の実施と提出を義務付けた。
HFPOは、プラスチックの製造や有機化学品の製造に使用されており、TSCA化学物質データ報告規則の報告書によると、毎年100万ポンド(約45万kg)以上のHFPOが製造されているという。EPAは、既存の危険有害性データを調査した結果、HFPOが健康及び環境に損害を与える危険性があると判断。今回の試験命令は、危険性のレベルを判断するためのデータ収集が目的。2022年6月には、同じく、PFASの一つであり、業務用消火用泡消火剤に使用されている6:2フルオロテロマースルホンアミドベタインにも試験命令が発出されている。
HFPRの発出命令の対象企業は、ケマーズ、デュポン、3M。EPAが指定された方法で試験を行い、415日以内に結果を提出しなければならない。すでに今回のの試験命令に先立ち、3社と協議を行い、任意での提出を求めている。すでに、3社から提供された既存試験の情報に基づき不要と判断されたデータは、今回の命令から除外されている。EPAは、任意提出されたデータに関する情報を一般公開している。
EPAは1月5日には、PFAS情報のポータルサイト「PFAS分析ツール」をリリースしており、一般市民にもわかりやすく情報を発信していく考え。
【参照ページ】EPA Requires Reporting on Releases and Other Waste Management for Nine Additional PFAS
【参照ページ】EPA Issues Next Test Order Under National Testing Strategy for PFAS Used in Plastics, Chemical Manufacturing
【参照ページ】EPA Releases New PFAS Analytic Tools
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