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【ドイツ】政府、中小企業向けカーボンニュートラル変革の行動計画発表。幅広い業界に影響

 ドイツ連邦経済・気候保護省は12月15日、中小企業のサステナビリティと気候変動のトランジションを支援する行動計画を発表した。ウクライナ戦争で化石燃料からの脱却の必要性が増し、さらに気候変動でのカーボンニュートラルの達成が必要と強調。中小企業がカーボンニュートラルを実現するようにすることが、ドイツや欧州での社会的、政治的な支持を確保することができる道とした。

 今回の行動計画では、中小企業が変革にうまく対応し、新しいビジネスモデルや技術を発展できるようにするための規制枠組を設計していくと説明。内容には、安定した投資と資金調達の条件、再生可能エネルギーの大規模な拡大、国際競争力のあるエネルギー価格、電気と熱の安定供給、迅速で官僚的でない認可手続きなどが含まれるとした。特に中小企業では、資本へのアクセス、熟練労働者の採用、官僚的負担の不均衡等、変革プロセスにおいて特有の課題を抱えていることが多いとし、中小企業に特化した対策が必要との考えを示した。

 ドイツ連邦経済気候保護省のケルナー政務次官は、2022年に中小企業関連団体や企業の対話を開始。重要な活動分野を特定し、今回の行動計画の発表につながったと説明。エネルギー価格、カーボンニュートラルとサステナビリティ、熟練労働者、資金調達、サステナビリティ報告、サーキュラーエコノミー、官僚的対応の削減と計画の加速化を主な分野として掲げた。

 足元のエネルギー価格の高騰での対策では、主にウクライナ戦争とロシアのガス・石油への依存が原因であり、戦争が終わっても安価な化石燃料が戻ることはないと強調。中小企業の気候変動対応型経済への転換を成功させるためには、恒久的に競争力のあるエネルギー価格を確保するため、再生可能エネルギーを大規模に強化し、急速に拡大することによってだけがソリューションになると言及した。この観点では、中小企業に特化した対策ではないが、経済全体のために、再生可能エネルギー全体に対する補助金施策や政策を列挙した。

 カーボンニュートラルとサステナビリティでは、ガスを含めた化石燃料から、再生可能エネルギー電力やグリーン水素への転換を中心に据えた。中小企業施策では、投資補助金の支給、需要に応じた送電線の拡張、水素供給量を確保するための輸入戦略を打ち出した。輸入では、ノルウェー、南欧、マグレブ諸国からも水素輸送パイプラインを敷設する考え。

 太陽光発電、風力発電、電力網設備、ヒートポンプ等のエネルギー関連ハードウェアでは、拡大を支える強固なサプライチェーンが必要と指摘。風力発電、太陽光発電、電解槽、電力網、ヒートポンプの5分野ではEU戦略を活用しつつ、戦略的計画を定めるとした。電気自動車(EV)の利用におけるビジネス支援を継続する。

 これらの新技術分野では、設備投資に向けた税制優遇や補助金施策を大規模に投入。すでにいくつかは政策発表済みであり、中小企業にも活用を呼びかけた。省エネでは、「経済におけるエネルギー・資源効率のための連邦助成金(EEW)」で、中小企業向けの特別優遇加算措置を設けていることも紹介。非住宅の建物でも、コンサルティング費用の80%を補助し。非住宅用建物のエネルギー診断やSA化ロードマップの作成等、ターゲットを絞った支援を展開する。

 使用する素材の転換では、各ステークホルダーと協議の上、リード・マーケットの形成を可能にするために、欧州および国際基準に適合した気候変動に強い基礎素材の適切な定義を策定。とりわけ、ドイツや欧州の産業界が輸入に大きく依存している金属、特殊な工業用鉱物、希ガスに関しては、2024年に特別な資金調達プログラム「トランスフォーメーションのための原材料」を開始する予定とした。

 輸出促進では、気候変動に配慮したエネルギー技術やサービスの分野の支援をさらに強化。海外現地のステークホルダーの研修を通じ、能力向上策を政府としても継続的に支援するとした。特に政府による支援先の選定では、国連持続可能な開発目標(SDGs)やカーボンニュートラルの観点から、プロジェクトを評価。国際的な気候変動目標の達成に資する分野への支援割合を段階的に引き上げていく。

 中小企業の研究開発では、特にサステナビティとカーボンニュートラルに焦点を当てた研究開発分野を振興。中小企業の参加が多いネットワークに資金を優先的に配分する新たなエネルギー研究プログラムも立ち上げる。バイオエコノミー、軽量構造、エレクトロモビリティでは特別なプログラムも走らせている。

 さらに、公共調達に中小企業が多く関与していることから、公共調達でのサステナビリティ基準の義務化を強化し、中小企業の変革を後押しする。中小企業の対応力を引き上げるため、調達局(KNB)の持続可能な調達のためのコンピテンスセンターと革新的な調達のためのコンピテンスセンター(KOINNO)を通じた支援も継続する。

 同省は、中小企業のサステナビリティとカーボンニュートラルの転換におけるデジタル化の重要性も強調した。ミッテルスタンド・デジタル・ネットワークが中心となり、中小企業のあらゆるデジタル化課題をサポートする体制を整える。サーキュラーエコノミー、農林業、スマートホーム、EV充電、物流、製造業でのデジタルトランスフォーメーション(DX)を中小企業にも展開していく。資金調達では低金利融資や補助金等で対応する。

 熟練労働者不足に対しては、変革のプロセスに特に重点を置き、建設業の19職種と環境工学の4職種の訓練規則を改訂。サステナビリティとデジタル化に関する履修要件を加える。また、企業間職業訓練センターを、需要に応じた技術を普及させる拠点として位置づけ、技能職の企業間実習のコースも充実させる。需要を減らす褐炭の3つの主要生産地では、共同トレーニングを開始し、スキル転換を支援する。

 それでも不足する熟練労働者への対策では、熟練労働者移民を増やす。2023年初頭には、スキルドワーカー移民法の制定を目指し、杓子定規ではなく移民の実務力に応じた柔軟な移民受け入れや、政府としての移民支援策も講じる。特に、海外でのエキスパート研修では、アルゼンチン、チリ、ナイジェリア、南アフリカで、「グリーン・ジョブ」に特化したコースに重点を置く。国際的なマネージャー養成プログラムでも、サステナビリティと気候変動に重点を置く。

 中小企業への資金調達の加速では、十分な民間資本を動員することが不可欠と指摘。ドイツ復興金融公庫(KfW)を軸に、低金利の融資、エクイティファイナンス、助成金を提供することを柱に据えた。特に、中小企業は資本性の資金も必要となるため、中小企業向けのメザニン資本の供給を強化。融資保証も厚くする。海外市場の開拓用には、連邦輸出信用保証(ヘルメス・カバー)を、すでに、再生可能エネルギー分野の取引に対するカバーオプションも用意されている。必要なレアメタル等の調達では、融資をアンタイド(資金使途の拘束なし)で提供していく。

 サーキュラーエコノミーでは、EU全体の戦略とも足並みを揃えながら、政府として中小企業に必要な支援を展開。特に建設分野では、リサイクル材の再利用を阻むものを取り除き、リサイクル材の利用を向上させ、物質循環のギャップを埋めたいとした。

 その他、熟練工、小売、観光、イベント・見本市市場、自動車、造船、航空機、建設、アパレルの各セクターでは、個別のアクションも説明した。 

【参照ページ】Transformation zu Klimaschutz und Nachhaltigkeit im Mittelstand – Mittelstandsbeauftragter Kellner stellt umfassenden Aktionsplan vor

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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