環境NGO75団体は12月20日、米財務省連邦保険局(FIO)のエリザベス・ブラウン・シニア保険規制政策分析官に対し、FIOが気候関連財務リスク評価のために導入を検討している保険大手からのデータ収集制度に関し、幅広い保険を対象とするよう要請した。
FIOは2022年2月、気候変動に関する金融リスクを検討するための中央銀行・金融当局ネットワーク「気候変動リスクに係る金融当局ネットワーク(Network for Greening the Financial System;NGFS)」に加盟。同10月には、全米の気候関連財務リスクを評価するため、損害保険大手213社からデータ収集する方針を発表。12月20日までパブリックコメントを募集していた。
FIOの方針では、住宅損害保険に関する保険会社の引受基準や関連する保険契約情報に関連するデータが収集される。収集の対象となる保険会社は、まず、2021年の住宅損害保険からの保険料が1億米ドル以上の保険会社。さらに、FIOが気候変動に最も脆弱と特定しているテキサス州、カリフォルニア州、フロリダ州、ルイジアナ州、ノースカロライナ州、ニュージャージー州、ミズーリ州、イリノイ州、アイオワ州、オクラホマ州の10州の各々で市場シェア80%までの上位保険会社。これにより34州213社の保険会社が対象となる。
収集されるデータは、通常保険会社から州の保険規制当局に提出している保険金、保険料、損害賠償等のデータに加え、更新保険料の金額、再調達費用額、免責金額、補償限度額等も含まれる。収集期間は、2017年から2021年の5年間の引受データ。データに関しては、郵便番号単位で集計し、提出が求められる。但し、個々の住宅所有者や被保険者に関するデータは収集しない。また地震保険も対象としない。また再保険の影響についても、現段階では情報整理が困難とし、敢えて除隊した。
今回NGO75団体は、FIOのデータ収集方針を高く評価。その上で、一貫性があり比較可能で詳細なデータを収集するためには、保険種目と住居タイプを広く対象とし、調査する必要があるとした。具体的には、全ての残用市場(Residual Markets)保険、マルチペリル型の住宅保険から除外されがちな山火事や風等の災害、賃貸人保険等の追加保険種目を含めるべきとした。
また、FIOは、データ収集後に、データを細分化し、学術研究者や独立研究者がさらに分析できるようなフォーマットで公表すべきとした。加えて、手頃な価格の保険へのアクセスを維持する方法について、詳細な提言お行うべきとした。
今回の要請に署名したNGOは、パブリック・シチズン、グリーンピースUSA、レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)、シエラ・クラブ等。
【参照ページ】Treasury FIO Climate Risk Data Coalition Comment
【参照ページ】Treasury’s Federal Insurance Office Takes Important Step to Assess Climate-related Financial Risk – Seeks Comment on Proposed Data Call
【参照ページ】Agency Information Collection Activities; Proposed Collection; Comment Request; Federal Insurance Office Climate-Related Financial Risk Data Collection
【参照ページ】Treasury’s Federal Insurance Office Continues Efforts on Climate-Related Financial Risks in the Insurance Sector, Joins the NGFS
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