米連邦取引委員会(FTC)は12月19日、人気オンラインゲーム「フォートナイト」の開発企業エピック・ゲームズとの間で、総額5億2,000万米ドル(約690億円)の支払いで合意したと発表した。同社は児童オンラインプライバシー保護法(COPPA)に違反し、ダークパターンと呼ばれるデザインのトリックを展開し、数百万人のプレイヤーから意図しない購買をさせた疑いでノースカロライナ州東部地区連邦地方裁判所に訴えられていた。
フォートナイトは、ダウンロードやプレイは基本的に無料だが、衣装やダンス技等のゲーム内課金が可能。ユーザーは世界で4億人以上いる。ダークパターンとは、視認性の悪いボタン構成をすることで、意図しない課金を誘発させる行為のこと。例えば、スリープモードから復帰させようとしたとき、ローディング画面のとき、あるいは単にアイテムをプレビューしようとしたときに隣のボタンを押しただけで課金される。ダークパターンによる課金額は数億円にも上るという。
FTCによると、同社は2018年まで、保護者やカード所有者の操作や同意を必要とせず、ボタンを押すだけで子どもたちがゲーム内通貨「V-Bucks」を購入できるようにしていた。一部の保護者は、同意なしにクレジットカードに課金したことに気づく前に、子供が数百ドルの課金を積み重ねたと訴えていた。また、ゲームプラットフォーマーのアマゾン、アップル、グーグル等の企業に対して、親の同意を得ずに行ったアプリ内課金について、消費者に数百万ドルを請求したとして、同様の訴えを起こしていた。ユーザーからの苦情は100万件を超えるという。
FTCは同事案に関し、賛成4、反対0で司法省を通じて提訴することを決定。FTCは、連邦裁判所に提出した訴状の中で、エピック・ゲームズが、子供向けオンラインゲーム「フォートナイト」をプレイした13歳未満の子供から、両親に通知せず、両親の検証可能な同意を得ずに個人情報を収集し、COPPA規則に違反したと訴えている。また、同社は、子供や10代向けのリアルタイムの音声およびテキストチャット通信をデフォルトで有効にすることで、FTC法の不公正行為の禁止にも違反したという。
また同社社内では、従業員からデフォルト設定に懸念の声があがり、2017年の時点で音声チャットのオプトインを求めるデフォルト設定の変更を促していた。子どもがゲームをプレイ中に性的なものを含む嫌がらせを受けたという通報があったにもかかわらず、同社はデフォルト設定をオフにすることに抵抗した模様。加えて同社は最終的には音声チャットをユーザーがオフにできるボタンを実装したが、同社はユーザーが見つけにくいようにしていたという。
今回の事案に関し、連邦裁判所は、13歳未満のユーザーの場合は両親が、10代のユーザーの場合は本人もしくは両親がプライバシー設定を通じて肯定的な同意を提供しない限り、子供や10代向けに音声およびテキストチャットを有効にすることを禁止する命令案を作成。さらに、命令案の中で、同社は、COPPAルールの保護者への通知と同意の要件に違反した形でユーザーから過去に収集し個人情報に関し、保護者の同意を得られなければ、13歳以上というエビデンスが得られていないユーザーデータを削除することも盛り込んた。定期的な独立監査を受けることも要求していた。
エピック・ゲームズの和解金支払は、今回2つの内容で構成している。まず、COPPA規則違反に関する民事訴訟での和解で米連邦政府に対し2億7,500万米ドルを支払う。同時に、子供や10代のユーザーに対しては、音声およびテキストチャットがデフォルトでオフにすることも要求される予定。2つ目は、行政命令として、ダークパターンと課金の慣行に関し、消費者への返金で2億4,500万米ドルを支払う。返金額としてはFTCの案件史上過去最大となる。
FTCはm近日中に連邦官報で今回の合意協定の内容を公表する予定。合意協定は、連邦官報での発表後30日間、パブリックコメントの対象となり、その後、FTCは合意案を最終決定するかを決定する。
【参照ページ】Fortnite Video Game Maker Epic Games to Pay More Than Half a Billion Dollars over FTC Allegations of Privacy Violations and Unwanted Charges
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