EU加盟国閣僚級のEU理事会は12月8日、EU加盟国に対し、幼児教育・保育と、手頃な価格かつ質の高い長期介護を提供する政策を実行するよう促す勧告を採択した。加盟国は今後18ヶ月以内に計画案を欧州委員会に提出する。労働者の社会保障負担を減し、経済活性化につなげる。
今回の発表は、2002年3月にEU理事会が設定したバルセロナ目標を引き継ぎ、幼児教育と介護の強化により女性の労働市場への参加を促すことが目的。平均値では2002年に設定した目標は達成しているが、国ごとのばらつきが大きい。これを改善するため欧州委員会は2022年9月、EUケア戦略を発表していた。
欧州において、育児・介護のため求職しないと回答した非労働者の割合は、男性は8%、女性は28%。約770万人の女性が育児・介護のために労働への制限を受けている。また、女性労働者は男性労働者よりも毎日平均90分長く家事や介護等を実施しており、男女格差の是正が必要とした。
今回の発表では、まず、3歳未満の子供が幼児教育と保育に参加する割合を33%から45%以上へ、3歳から義務教育の開始年齢までの参加率を90%から96%へ引き上げた。加盟国は目標達成に向け質の高いサービスを提供することを目指す。特に、子供の年齢、障害の有無等、格差が生じないような配慮が必要とした。両親が対等な立場で養育責任に参加できるようなキャンペーンや育児休暇の支援、モニタリングのためのデータ収集等にも言及した。
長期介護では、様々な介護のパターンを分類・定義し、安価で質の高いサービスを提供することを求めた。介護専門スタッフの労働条件の改善やトレーニングの実施に加え、家庭内で介護を行う女性や親族等に向けたトレーニング、カウンセリング等の支援を行うことも含まれている。特に、農村部や過疎地にでの長期介護へのアクセスを向上し、地域格差を解消することを重視した。長期介護セクターでの雇用創出も重点項目とした。
【参照ページ】EU ministers adopt recommendations on early childhood and long term care
【参照ページ】Proposal for a COUNCIL RECOMMENDATION on the Revision of the Barcelona Targets on early childhood education and care
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