欧州委員会は12月1日、フランス政府が決定した短距離路線の国内線禁止について、EU法の観点でも合法との判断を下した。フランス政府の決定後に、フランスの空港や航空会社がロビー活動し、欧州委員会での異議申立て調査が行われていた。
今回の事案では、新型コロナウイルス・パンデミック後に、フランス政府が2021年に気候法を制定し、2時間半以内の列車移動が可能な短距離路線を廃止するルールを制定したことが背景。具体的には、フランス国内の100以上の航空路線のうち3路線の廃止が掲げられていた。廃止路線は、パリ=オルリー空港とリオン空港、ナンテ空港、ボルドー空港の各3空港をつなぐ路線。
欧州委員会は今回、乗継便に対しても適用することや、禁止機関は3年間の時限規制として制定し、2年後に是非をあらためて判断することを要件に、EU航空サービス規則に準拠しているとの判断を下した。これにより、3路線は停止されることになる。場合によっては、欧州司法裁判所(ECJ)での法廷闘争に突入する可能性もある。
今回の欧州委員会の判断は、短距離路線の廃止を手放しで賛美せず、一定の期間毎に見直すこと初めて正当化されるとの指針を示したものといえる。現在の航空サービス規則は、深刻な環境問題がある場合にEU加盟国に対し、路線を停止する権利を認めているものの、路線停止措置は3年以内に限定されるとしている。但し、欧州委員会は現在、同規則の改正を計画しており、今後立法プロセスの中で規制強化のキャンペーンも熱を帯びてくることになる。
今回の決定に対し、国際環境NGOグリーンピースは、3年以内の時限措置規定を設けたことを批判。3年以上の措置を可能にすべきとした。また、2時間半えはなく、6時間以内の鉄道またはフェリーによる代替手段が可能な短距離路線の全廃を求めた。
【参照ページ】French short-haul flight ban is legal, rules EU Commission in blow to airline lobby
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