米ツイッターのイーロン・マスクCEOは11月19日、10月27日のツイッター買収後に自身が発表した「コンテンツ・モデレーション評議会」に関し、実際には単なる諮問委員会にすぎず、実質的な権限は無力で、同氏に全権が集中していると話した。社内Zoomミーティングの動画がリークされ、報道機関が報じた。
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同氏が10月28日に発表した「コンテンツ・モデレーション評議会」は、同社が凍結したアカウントの復活や、投稿内容の適切性の判断を担う機関と表明されていた。マスク氏は、同評議会の決定を経ずに、アカウント凍結の解除や重要な投稿内容の判断を行うことはないと宣言していた。しかしマスク氏は今回、同協議会の委員はマスク氏に選ぶ権限があり、マスク氏の判断を制約するのもにはならないとの考えを披露した。
実際にマスク氏は、11月26日にドナルド・トランプ前米国大統領が2024年大統領選挙への出馬表明を宣言した後、11月19日にツイッターでトランプ氏のアカウント復活に関する投票を行い、1,500万人のユーザーのうち52%が復帰を支持。その結果を「民主主義の声」とし、トランプ氏のアカウントを復活させている。しかし事前に同評議会が開催された形跡はない。トランプ氏は5月の時点で、トランプ氏のアカウントを1月に凍結したツイッターの判断を「誤り」と発言し、発言権を奪うことは道徳的に間違った判断との考えを示していた。
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トランプ大統領はアカウント復活後も11月26日までに一切に投稿していない。それに対し、マスク氏は、アカウント凍結が不適切であり、トランプ氏がツイッターに投稿しないことは「構わない」と述べた。
トランプ氏は、「コンテンツ・モデレーション評議会」の決定を重視する姿勢を翻した理由として、活動家がツイッターから広告収入を奪って、ツイッターを潰そうとすることをしないことが条件だったが、活動家がその前提を崩したためとしているという。
またマスク氏は11月23日、自身のツイッターアカウントで、#StayWokeとプリントされたTシャツの画像とともに「Found in closet at Twitter HQ fr ??」と投稿。その後、このシャツは2014年に起きた18歳のマイケル・ブラウン氏の警察による射殺事件を受けたミズーリ州ファーガソンでの抗議活動に由来すると投稿し、さらにブラウン氏の死に関する米司法省の2015年の報告書にリンクするURLも貼り、"「手を上げて撃つな」はでっち上げだ"と投稿し、のちの削除した。ブラウン氏の死は、直後から「Black Lives Matter(BLM)運動」を呼び起こすことになるが、これらの投稿から、マスク氏は、BLM運動を揶揄し、否定的な立場をとっているとみられている。
すでに、マスク氏がツイッターCEOに就任して以降、GM、ゼネラル・ミルズ、ファイザー、アウディ、フォルクスワーゲン、モンデリーズ・インターナショナル、チポトレ、ユナイテッド航空等がツイッターへの広告出稿を停止したと報じられている。広告代理店インターパブリック・グループも、顧客に対し、ツイッターへの広告出稿を控えるようアドバイスしているとも報じられている。
さらに、リズ・ウィーラーが11月25日、仮にアップルやグーグルがツイッターアプリを停止させた場合、スマートフォンの開発も独自に進めるべきだと主張したことに対し、投稿を掲載。そのように停止されることは望んでいないが、もしそうせざるをえなくなったら、代わりのスマートフォンを作るだろうと述べた。
ツイッター運営を巡る企業の緊張感は高まっている。
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