農機・建機世界大手英CNHインダストリアルは10月25日、農機分野世界初の動的シミューレーター施設がイタリアのモデナにある「サンマッテオR&Dセンター」に完成したと発表した。同社は農機の電気自動車(EV)化も進めており、今後のEV農機の動作検証にも活用する。
動的シミュレーターは、自動車等の実際の走行時のシミュレーションが可能な装置。定常シミュレーションでは把握できない、動作加速や燃料消費等をチェックすることができる。動的シミュレーターは従来、自動車分野では活用されていたが、農機や建機の分野では用いられていなかった。同社が完成させた動的シミュレーターは、農機だけでなく、建機でも活用できるという。
今回の装置は、同社のエンジニアチームが1年をかけ、設計・開発。2022年に入ってからも150人の新規雇用を創出し、そのうち120人はR&Dセンターの重点分野のために採用されたエンジニア。またイタリアを始め欧州の主要大学とも連携した。これにより、開発コストの削減、市場投入までの時間の短縮、最新技術を採用した製品の投入等が可能になるという。
イタリア経済開発省は8月、サンマッテオR&Dセンターに3,940万ユーロ(約57億円)を助成する協定に署名。そのうち790万ユーロ(約11億円)はトラクターのハイブリッド電動技術の開発に割り当てられている。同社は2021年11月、完全電動自律走行型トラクター専業の米Monarch Tractorと電動化技術に関する複数年の独占ライセンス契約も締結している。
同社は、今回の動的シミュレーターを「デジタルツイン」戦略の一つと位置づけている。特に、完全自動制御の機械であえて一部を人間に介在させる「ヒューマン・イン・ザ・ループ(HITL)」設計を磨く考え。すでに同社は2022年、HPC(ハイパフォーマンス・コンピューティング)インフラを5倍に増強している。
【参照ページ】CNH Industrial delivers agriculture’s first Dynamic Simulator
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