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【EU】EFRAG、欧州サステナビリティ報告基準の最終案第1陣採択。スコープ3やTCFD定量分析を義務化

 EUの金融報告フレームワーク検討機関European Financial Reporting Advisory Group(EFRAG)は11月15日、EUで立法作業中の企業サステナビリティ報告指令(CSRD)に基づく、欧州サステナビリティ報告基準 (ESRS)の最終案の第1陣を採択。最終決定権を持つ欧州委員会に送付した。

 今回採択された最終案の第1陣は、一般要求事項、気候変動(E1)、汚染(E2)、水・海洋資源(E3)、生物多様性・生態系(E4)、資源利用・サーキュラーエコノミー(E5)、事業慣行(G1)、バリューチェーン労働者(S2)、影響を受けるコミュニティ(S3)、消費者・ユーザー(S4)。

 ESRSの特徴は、各項目について、「分析・評価したアプローチ手法」「インパクト・リスク・機会」「指標・目標」の3つをセットにして開示することを求めている点。従来のGRIスタンダードやSASBスタンダードと異なり、事前に決められたデータや内容を開示させるのではなく、自らが重要だと考える内容をアプローチを手法を含めて説明した上で、指標や目標を開示させる立て付けとなっている。

 だが、各セクター毎にある程度の統一感をもたらせるため、別途、セクター別の報告基準の策定も進めており、セクター別報告基準の遵守も義務化される。策定されるセクターの数は40。

 指標・目標については、項目毎に開示義務化の粒度が大きくことなる。例えば、気候変動では、細則主義で開示内容を特定した。スコープ1と2に加え、スコープ3までの開示を義務化。さらに、スコープ1、2、3の合計排出量の売上当たりの原単位排出量の開示も義務化。カーボンクレジットを活用した削減量に関しても、バリューチェーン内とバリューチェーン外に分けて開示することも義務化する。インターナル・カーボンプライシング制度の導入の有無、そして気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)ガイドラインに基づき、物理的リスク、移行リスク、機会の開示も財務的な定量評価まで行った上で開示することも義務化する。

 反対に、生物多様性・生態系については、細かい指定はなく、任意に検討して何らかの指標や目標を開示することを課している。

 ESRSに基づく情報開示を義務化するEU法となるCSRD法案は、11月10日にEU下院の役割を担う欧州議会で、賛成525、反対60、棄権28の賛成多数で可決された。11月28日には、EU上院の役割を担うEU理事会でも可決される見通し。

 CSRDは開示対象企業を段階的に広げることを規定している。従業員500人以上の企業は2024年1月から、従業員250人以上または売上高4,000万ユーロ以上または総資産2,000万ユーロ以上の企業は2025年1月から、上場中小企業、小規模金融機関、キャプティブ保険会社は2026年1月1日から適用されるが、上場中小企業に関しては2028年まで指令適用が免除される。報告は企業グループ単位で課されるため、関連会社での評価も必要となる。

 また、EFRAGは、非上場の中小企業向けにも、任意に参照できるEUサステナビリティ報告基準の策定も進めている。

【参考】【EU】欧州議会とEU理事会、企業サステナビリティ報告指令で政治合意。EU域外企業も対象(2022年6月23日)

【参照ページ】EFRAG SRB MEETING 15 NOVEMBER
【参照ページ】Sustainable economy: Parliament adopts new reporting rules for multinationals

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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