国連ハイレベル気候チャンピオンは11月17日、国連気候変動枠組条約第27回シャルム・エル・シェイク締約国会議(COP27)の場で、非国家主体のアクションを評価する総括として「COP27アクション・アジェンダ:進捗と優先事項」を開催。非国家主体が数々のアクションを発表したことを高く評価した。
国連ハイレベル気候チャンピオンは、2015年の第21回国連気候変動枠組条約パリ締約国会議(COP21)で発足した制度で、毎年のCOPの中で議論を主導する役割を担う。2022年のCOP27では、ナイジェル・トッピング博士とマフムード・モヒールディン博士の2人が任命されている。COP27では、加盟国政府が交渉主体となるパリ協定の詳細ルール協議が2021年COP26で全て完了したため、非国家主体が会議の中心となることが当初から謳われていた。
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COP27は想定通りのスケジュールで進めば11月18日で閉幕する。11月6日の開幕から11月17日までの2週間で、会場では非国家主体のイベントが50以上開催。非国家主体が積極的に舞台に立ち、自らのアクションや、他のステークホルダーを舞い込みながら進めるアクションを表明した。
議長国エジプト政府も今回、非国家主体にも直接呼びかけるイニシアチブを多数打ち出した。「シャルム・エル・シェイク適応アジェンダ」だけでなく、アフリカでの水関連の気候変動適応強化イニシアチブ「水適応・レジリエンス行動イニシアチブ(AWARe)」、自然を軸としたソリューション(NbS)で気候変動、生物多様性、砂漠化を一体的に解決する分野に資金を動員する「気候トランスフォーメーションのための自然を軸としたソリューション(NbS)強化(ENACT)」イニシアチブ、都市での気候変動適応イニシアチブ「次世代のための持続可能な都市レジリエンス(SURGe)」イニシアチブも発足。いずれも各国政府だけでなく、非国家主体を直接巻き込むイニシアチブとなっている。
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さらに議長国エジプト政府は、エネルギー転換の分野でも、2027年までにアフリカで3億人以上にアフォーダブルなエネルギーアクセスを確保し、クリーンクッキングへのアクセスも同時に向上し、再生可能エネルギーの電源構成を25%にまで高めるイニシアチブ「Africa Just and Affordable Energy Transition Initiative(AJAETI)」も発足している。こちらは、国際エネルギー機関(IEA)、国際再生可能エネルギー機関(IRENA)、Sustainable Energy for ALL(SEforALL)が運営母体となる。
さらにエジプト政府は、食料・農業分野では、食料安全保障を確保しながら1.5℃目標と整合性のある気候変動緩和・適応を進めるための資金動員を拡大するイニシアチブ「持続可能な変革のための食料・農業(FAST)」イニシアチブも発足。こちらは国連食糧農業機関(FAO)が運営母体となる。
議長国が発足したもの以外にも、マルチステークホルダー型で発足されたイニシアチブは数多く、一部は今回、国連ハイレベル気候チャンピオンによって一覧化された。また、国連ハイレベル気候チャンピオンが注力してきた「Race to Zero」キャンペーンには世界11,000以上の機関が加盟し、「Race to Resillience」キャンペーンには139ヶ国から加盟自治体がすでに集まっている。
【参照ページ】UN Climate Change High-Level Champions: Contribution of the ‘All of Society’ Global Climate Action Agenda at COP27
【参照ページ】Summary of Global Climate Action at COP 27
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