ドイツ政府は11月14日、2022年G7議長国として、気候変動に脆弱な58カ国「V20」の財相グループ(V20)とともに、発展途上国への気候変動の損失と損害(ロス&ダメージ)に対する資金支援イニシアチブ「気候リスクに対するグローバル・シールド」を正式に発足した。第1弾のコミットとして、ドイツ政府が約1.7億ユーロ(約250億円)、その他の国が4,000万ユーロ(約58億円)以上を拠出する。
ドイツ政府は今回、気候変動の損失と損害に対処するため、先進国は、脆弱の国の人々を支援する責任を負っていると言及。V20の呼びかけに応じ、G7と全体で資金拠出をしていくことで合意したと表明した。
V20の調査によると、V20構成58カ国の約15億人のうち、経済的な保護を受けていない人が98%と多数を占め、中小企業の労働者にとって大きなリスクだとした。V20諸国は2000年以降、気候変動の影響により総額5,250億米ドル(約74兆円)の損失を被っており、今後、そのリスクは高まっていくという。さらに、気候変動に脆弱な経済圏では、資本コストや負債が持続不可能なレベルまで上昇しているとした。
そこで、気候リスクに対するグローバル・シールドは、災害の発生前または直後に、迅速かつ信頼性の高い資金を事前に準備していくことを狙う。それにより、政府、地域コミュニティ、企業、市民に対する資金アクセスを高め、災害影響の軽減、経済のレジリエンス向上、市民の生命と生活の保護を進める。
第1弾では、ドイツ政府が約1.7億ユーロを拠出。そのうち8,400万ユーロが「気候リスクに対するグローバル・シールド」の中核予算として、残りの8,550万ユーロは関連する気候リスクファイナンス手法に充当される。他には、フランス政府が2,000万ユーロ(約29億円)、アイルランドが1,000万ユーロ(約15億円)カナダ政府が700万米ドル(約9.8億円)、デンマーク政府が3,500万デンマーククローネ(約6.8億円)の拠出にコミットした。今後、他の政府からも集まる見通し。
気候リスクに対するグローバル・シールドの運営は、V20、G7、シンクタンク、NGO、国際開発金融機関、企業の代表で構成するハイレベル諮問グループが舵取りを担う。実施面では、InsuResilience Solutions Fundを基盤とする「Global Shield Solutions Platform」、世界銀行のGlobal Shield Financing Facility、そしてClimate Vulnerable Forum(CVF)とV20のJoint Multi-Donor Fundが実際の運営ファンドとなる。COP27の直後から実務を開始する。
すでに最初の資金受取国として、バングラデシュ、コスタリカ、フィジー、ガーナ、パキスタン、フィリピン、セネガル等が確定。市民や企業のレベルでは、生活保護、社会保障、家畜・作物保険、財産保険、事業中断保険、リスク共有ネットワーク、信用保証等の形で資金が提供される。国や地方自治体、人道支援機関、NGOのレベルでは、必要な資金のプール(マネーイン)と、災害時の資金支援プロセス(マネーアウト)を統合的に開発する。
【参照ページ】V20 and G7 jointly launch Global Shield against Climate Risks at COP27
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