世界の農家関連82団体は11月7日、国連気候変動枠組条約第27回シャルム・エル・シェイク締約国会議(COP27)に向け、世界の官民のリーダーに対し、小規模農家への気候変動適応への支援を訴える共同公開書簡を発表した。世界の食料システムは、極めて脆弱であり、例え気温を1.5上昇に抑えたとしても、猛暑、旱魃、洪水が定常状態となる事態を前に、準備が整っていないと警鐘を鳴らした。
今回共同書簡に署名したのは、世界農村フォーラム(WRF)、アジア農民の会(AFA)、アジア農村人材開発パートナーシップ(AsiaDHRRA)、アフリカ食料主権同盟、アラブ牧畜共同体ネットワーク、米国の北東部有機農業協会・州間協議会等。先進国の小規模農家や発展途上国の農家団体が数多く署名した。署名機関に加盟している総農業人口は3.5億人。
同書簡では、小規模農家が、アジアやサブサハラ・アフリカ等で消費される食料の80%を生産しており、世界の食料安全保障に欠かせない存在と言及。しかし、数十年間も過少投資に苦しんでおり、大企業による食料サプライチェーンに虐げられてきたとの思いも伝えた。そのうえで、これまで以上に極端で不安定な天候に対処するインフラ、技術、資源、民主的空間を欠く状態になると訴えた。
一方、世界全体の気候変動資金のうち、小規模農家の気候変動適応向けはわずか1.7%。食料不安が高まっている今、COP27の意思決定者は、世界の食料供給における小規模農家の役割を認識し、現在および長期的に利用できる適応資金を大幅に増加させることが極めて重要とした。食料システムでの気候変動適応計画は、小規模な家族経営の農家や生産者から始める必要があるとした。
さらに、COP27では、アグロエコロジーの実践等、持続可能な食糧生産への転換を重視すべきと提言。小規模農家が長年蓄積してきた専門知識からみても、食料安全保障の鍵は多様性と指摘。地元の作物をより多く栽培し、作物、家畜、林業、漁業をミックスし、化学物質の投入を減らし、地元市場との強いつながりを構築することがレジリエンスの肝とした。
各国政府に対しては、毎年世界全体で6,110億米ドルも費やされている食糧生産への補助金が、健康や環境に有害な工業的農業の支援であることに苦言を呈した。また、土地所有権の集中、女性の土地所有率が低い不平等問題にも対処するよう伝えた。
【参照ページ】Open letter to world leaders ahead of COP27
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