英気候変動シンクタンクInfluenceMapは10月24日、欧米の業界団体12団体を対象に、生物多様性の喪失に関するロビー活動の状況を調査した結果を公表。延期、骨抜き、逆行させるようロビー活動を行っている実態が見えてきたと批判した。企業に対し、同団体への加盟継続再考を呼びかけた。
今回の調査対象は、自然資本へのインパクトの多い鉱業と農林水産業関連の業界団体。具体的には、欧州の国際石油・天然ガス生産者協会(IOGP)、ビジネス・ヨーロッパ、欧州製紙産業連合(CEPI)、欧州石炭褐炭協会(ユーロコール)、ユーロペッシェ(欧州の漁業事業者団体の連合会)、欧州農業組織委員会・欧州農業協同組合委員会(Copa-Cogeca)と、米国の米国商工会議所、米国石油協会(API)、全米漁業協会、アメリカン・ファーム・ビューロ・フェデレーション(AFBF)、米国林産品製紙連合会(AF&PA)、全米鉱業協会(NMA)。
調査結果では、12団体で生物多様性に関するロビー活動が合計750件実施されていたことがわかった。そのうち生物多様性対策を阻害することを目的としたものが89%。支持的な内容はわずか5%。残りは混合もしくは中立的な内容だった。
具体的には、EUでの「2030年生物多様性戦略」、米国でバイデン政権が掲げた「米国水域法(WOTUS)」や「絶滅危惧種法(ESA)」当の規制を撤回するよう求める内容が含まれていた。また、5団体は、特定の種の保護に反対するロビー活動まで実施。例えば、APIは、マルハナバチ、アザラシ、ホッキョクグマ等の種の保護に否定的だった。
InfluenceMapは、12の業界団体のロビー活動をスコアリング。結果、全てがD以下という非常に低い格付だった。欧州と米国の比較では、欧州のほうがスコアが低かった。
InfluenceMapは、同報告書を機関投資家からの透明性需要に応える形で作成したと言及。また、12団体には、サウジアラムコ、JPモルガン・チェース、アマゾン、アップル、トヨタ自動車、サムスン電子、エクソンモービル等の世界大手企業が加盟していると名指しで指摘。今後、同団体は、個別企業の政策方針と加盟業界団体の政策方針の整合性についても調査を実施してく予定とした。
今回の発表では、BNPパリバ・アセット・マネジメント、HSBCアセット・マネジメント、ストアブランド等の機関投資家がコメントを寄せ、企業は加盟業界団体の方針と整合性を図っていく必要があるとの認識を示した。
【参照ページ】Major Industry Groups Lobby to ‘Delay, Dilute and Rollback’ Biodiversity Policy
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