イーロン・マスク氏は、10月27日に米ツイッターを440億米ドル(約6.5兆円)で買収し、自身が唯一の取締役になって以降、将来のツイッターの社会的位置づけについて積極的な発信を続けている。マスク氏は、ツイッターが多様な意見が集まる場として「民主主義の象徴」と見立て、民主主義の装置をそのものを買収し、政治力を行使する場として位置づけているようにみえる。
まず、マスク氏は、「パロディ」と明記せず、なりすましを行っているアカウントは、永久停止すると宣言。従来の停止前の警告も行わず、無条件で停止すると伝えた。意図的にアカウント名を変更する行為についても、認証バッジを一時的に無効にすると表明した。これは、民主主義の基礎となる平等で公正な市民を実現することを狙っていると考えられる。マスク氏は以前、匿名アカウントに関しても否定的な考えを伝え、全てのアカウントを認証前提にするという考えも披露している。認証バッジを普及させることで、ジャーナリズムを民主化し、人々の声に力を与えるとした。
また言論の自由に関しては並々ならぬ意欲をみせている。例えば、「言論の自由に対する私のコミットメントは、たとえそれが直接的な身の安全のリスクになるとしても、私の飛行機を追うアカウントを禁止しない級だ」とツイート。ヘイトスピーチに関しても、自身が買収して以降、減少しているとの見方も示した。5月には、マスク氏が、ツイッターが永久追放措置を下したアカウントを復活することも検討していると報じられており、QAnonの支持者、COVID-19否定派、ネオナチ、ドナルド・トランプ前米大統領がツイッターに復活するとも噂されている。
また、ツイッター上の広告塔に関し、活動家が非難してきたことについても、コンテンツ・モデレーション(投稿監視)業務を何も変えず、活動家におもねた対策も全てやりきったのに、広告売上が減少していると指摘。これらの行為は「アメリカの言論の自由を破壊している」と表現した。反面、コンテンツ・モデレーションは高い水準で継続。「ツイッターは世界で最も正確な情報源になる必要がある」と伝え、偽情報対策については高い意欲をみせた。
ツイッターの機能強化については、長文テキストを添付する機能を追加。現状、文字数制限のために長文テキストはスクリーンショットで掲載されていることを「不条理で終わらせる」とした。コンテンツのクリエイターにはマネタイズの機会を提供。ツイッター内検索機能も大きく改善するという。これらを通じ、毎日何十億もの統合が集まるツイッターを、全体の生態系として「集合的なサイバネティック超知能」に仕上げていく考え。
欧州委員会は10月末、ツイッターはEUルールを遵守する必要があることを強調している。具体的には、ティエリー・ブルトンEU域内市場担当委員がツイッターで、「欧州では鳥は我々のルールに従って飛ぶ」と投稿。その数時間前、マスク氏は、「鳥は解放された」と意味深な投稿をしている。一方、マスク氏は5月にブルトン委員と協議した際には、デジタルサービス法(DSA)を遵守する意向を明言していた。デジタルサービス法は10月に成立している。
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