国際的な携帯電話通信業界団体GSMアソシエーション(GSMA)は11月2日、携帯電話端末のサーキュラーエコノミー戦略を発表した。GSMAは2022年3月、ネットワーク機器のサーキュラーエコノミー化戦略を発表していた。
【参考】【国際】GSMA、サーキュラーエコノミー化戦略発表。ネットワーク機器で9個の重要提言(2022年4月1日)
今回の発表は、2050年までにサーキュラーエコノミー型のサプライチェーンを構築するために事業者が考慮すべき原則を示し、必要なアクションとベストプラクティスを掲載したもの。製品の長寿命化と廃棄物ゼロをコンセプトに掲げ、エントリーレベルとリーダーレベルの2つのレベルを設定し、必要なアクションと指標を提案した。
今回の報告書の作成は、スウェーデン通信大手のTele2とスイス財団Ethosが主導。28社が作成に関わった。海外ではAT&T、BT、Tモバイル、ボーダフォン、エアテル、テレフォニカ、オレンジ、CKハチソン・ホールディングス等が、日本からはソフトバンクとKDDIが参加した。
今回の発表では、携帯電話の製品ライフサイクルにおける環境負荷は製造工程で80%以上発生すると指摘。年間20億台以上の携帯電話が販売され、世界人口の90%以上が携帯電話を所有しているものの、85%の端末は正しくリサイクルされていない。そのため、安価な再生品へのアクセスが制限され、デジタルインクルージョンの機会の減少につながっているとした。
サーキュラーエコノミー型のサプライチェーンを構築するため、「再生プロセスのデータモニタリング基盤の構築」「消費者意識の向上とインセンティブ付与」「サプライヤーとの協業による製品の長寿命化」「修理、リサイクル業者と協力し再生される端末数を増やす仕組みづくり」の4つの重点テーマを設定した。
世界中のスマートフォンの製品寿命を1年伸ばすことで、2030年までに年間最大2,140万tの二酸化炭素排出量を削減することができると報告。これは470万台以上の自動車の排出量に相当する。現在の端末の平均寿命は約3年だが、技術的に可能な平均寿命は4年から7年、気候変動への影響を最小限に抑えるためには最低25年が必要だとした。
【参照ページ】GSMA PUBLISHES VISION FOR A ‘CIRCULAR ECONOMY’ OF MOBILE DEVICES
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