米レモンド商務長官とカナダのシャンパーニュ・イノベーション・科学・産業相は10月21日、米首都ワシントンDCで会談。サプライチェーンを含めた経済安全保障を強化する共同声明を発表した。特にカナダ側は、世界がカーボンニュートラルへ向かう波に乗じ、時刻の重要鉱物産業を活性化させる政策を進めており、米国産業とのアクセス強化を狙ったとみられている。
両大臣は今回、米CHIPS法と関連投資が、米国の半導体産業を活性化させるとともに、カナダ産重要鉱物の重要性が高まることについて議論。両国での研究開発、新興技術の商業化、製造能力の強化に向け、両国が協調していくことを確認した。資源採掘でのESGベストプラクティスにも言及した。
具体的分野では、米国経済分析局、カナダ統計局、カナダ世界情勢局は、米国とカナダ間のサプライチェーンのつながりに関する新たなデータ基盤を共同で開発することで合意。米国立標準技術研究所(NIST)とカナダ標準評議会(SCC)は、標準、適合性評価、認定に関する調整と協力のための覚書に調印した。国際標準協力ネットワーク(ISCN)の設立も視野に入れる。
カナダに関しては、パナソニックホールディングス傘下のパナソニックエナジーが10月20日、電気自動車(EV)用リチウムバッテリーの負極材料となる黒鉛を、カナダ黒鉛大手NMGから購入する長期契約の覚書を締結したことも発表。NMGの転換社債引受けを行う三井物産とともに、北米での黒鉛一貫生産事業開発を狙う。これもカナダの重要鉱物産業外交の一環と言える。
一方、日本政府は10月22日、岸田文雄首相のオーストラリア訪問に合わせ、平井裕秀経済産業省国際関係担当副大臣と、キング資源・北部オーストラリア担当大臣が、重要鉱物に関するパートナーシップに調印。日豪間で安全な重要鉱物のサプライチェーンを構築するための枠組みを確立し、日本とオーストラリアのプロジェクト間の研究、投資、商業ルールを含む情報共有と協力の機会を促進させる。こちらもオーストラリアの重要鉱物産業外交の一環。
また、経済産業省資源エネルギー庁は、日本、米国、EU、オーストラリア、カナダで構成する「クリティカルマテリアル・ミネラル会合」にも期待を寄せている。同会合は、2010年のレアアース等のクリティカルマテリアル(重要鉱物)の価格高騰等を背景に、2011年に発足。半年に一回会合が開かれ、第13回会合が6月に開催された。議長国は輪番。政策担当者級の会合で、第13回会合でも強調していくことが確認された。但し、日本以外ではあまり各国からも開催報告等は報じられておらず、同会合の国際的プレゼンスはまだ高くなりきれていない。
【参照ページ】Joint Readout on Cooperation between the U.S. Department of Commerce and Innovation, Science and Economic Development Canada
【参照ページ】車載用リチウムイオン電池の負極材料調達についてカナダNMG社とオフテイク契約に関する覚書を締結
【参照ページ】Australia-Japan strengthen critical minerals cooperation
【参照ページ】「第13回クリティカルマテリアル・ミネラル会合」を開催しました
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