国連気候変動枠組条約(UNFCCC)事務局は10月26日、11月から始まる第27回気候変動枠組条約シャルム・エル・シェイク締約国会議(COP27)に向け、各国の国別削減目標(NDC)を調査した最新の報告書「NDC統合報告書(Synthesis Report)」を発行した。UNFCCCは9月23日まで各国から最新のNDC報告書を受け付けており、今回の報告書はそれを分析したもので今回が発行2年目。
UNFCCCによると、COP26以降、24ヶ国からNDCの更新もしくは初回報告があった。これで世界の排出量の94.9%がカバーされた。193ヶ国から提出された最新目標では、2030年までに2010年比で10.6%排出量が増加。前年の13.7%増よりは改善された。一方、国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の2018年報告書では、2030年までに同45%減が必要としており、全く足りていない。
だが、今回、初回もしくは更新の報告書を提出した国のうち74%は、2025年から2030年までの間に二酸化炭素排出量を削減することのコミットを明確にしており、この点は「希望の光」と表現した。
また、昨年からNDC統合報告書と同時に発行されている「長期低排出開発戦略」では、各国の削減戦略を分析。同戦略を定めている国は、2019年の世界GDPの83%、世界人口の47%、総エネルギー消費量の約69%を占めており、すべて国の長期戦略が予定通り完全実施された場合、2050年には2019年比で約68%減少する可能性があることが示された。
世界気象機関(WMO)も同日、2022年度の「温室効果ガス年報(Greenhouse Gas Bulletin)」を発行。大気中の二酸化炭素濃度は、2021年に415.7ppmに達し、産業革命前の149%にまで上昇。メタン濃度は262%増、一酸化二窒素も人間の社会活動が自然均衡を崩し始めた1850年比で124%にまで増えた。
新型コロナウイルス・パンデミックで、2020年は新規の排出量が一時的に減少したものの、2021年は再び増加に転じた。2011年から2020年の人間活動による総排出量のうち、約48%が大気、26%が海洋、29%が陸地に蓄積。また、吸収源としての陸上生態系や海洋生態系の機能が今後低下することが予想されており、この点も今後の大きな悪材料となるとした。
WMOは今後2030年までに再生可能エネルギーの設備容量を2倍にする必要があると提唱。また、国連環境計画(UNDP)は2030年までに自然を軸としたソリューション(NbS)へのファイナンス額を3倍にする必要があると提唱した。
【参照ページ】Climate Plans Remain Insufficient: More Ambitious Action Needed Now
【参照ページ】More bad news for the planet: greenhouse gas levels hit new highs
【参照ページ】WMO - Clean Energy Must Double By 2030
【参照ページ】Finance for Nature-Based Solutions Must Triple by 2030
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