機関投資家の食品・小売関連イニシアチブ「Farm Animal Investment Risk and Return(FAIRR)」は10月26日、食品・小売大手23社の代替肉・乳製品と気候変動対策に関する過去6年間のエンゲージメント結果をまとめた報告書を発表した。代替肉・乳製品の売上増にコミットしていた企業の割合が増加していた。
今回の対象企業は、ウォルマート、カルフール、コストコ、テスコ、セインズベリー、マークス&スペンサー、アホールド・デレーズ、コールズ、アマゾン傘下のホールフーズ、ウールワース、ネスレ、ユニリーバ、マース、ハーシー、コナグラ・ブランズ、モンデリーズ・インターナショナル、ゼネラル・ミルズ、クラフト・ハインツ、クローガー、ケリー・グループ、Groupe Casino、Grupo Nutresa、Loblaw、Saputo。日本企業は対象になっていない。
対象23社のうち、代替肉・乳製品の売上を増加させることにコミットしていたのは35%。2019年の0%、2021年の28%から大きく増加した。
FAIRRは今回、植物由来の代替プロテイン商品は、2034年までに味、食感、コストで同等になり、代替たんぱく質の市場規模は、2035年までにたんぱく質市場全体の10%から45%、2050年までに25%から50%になると予測。コストイノベーションも進んでいるとした。さらに各社は、フードテックのベンチャー企業と提携を行うとともに、次のトレンドとして発酵性のたんぱく質に注目。研究開発予算も割り当てていることがわかった。FAIRRは、EATランセット委員会が提唱している植物由来プロテイン60%、動物由来プロテイン40%を長期目標の一つとしている。
コストの観点では、食料価格の増加も代替プロテイン商品の割高感をなくす方向で作用していることもわかった。植物由来の代替肉の2022年の平均価格上昇率は3%だが、通常の肉は6%だった。イギリスにおけるスウェーデン植物由来乳製品オートリーのオーツミルクの価格は、2019年では乳製品よりも約2.5倍高かったが、現在では約12%の価格差まで縮小しているという。
FAIRRは各社の取り組みを評価する一方で、二酸化炭素排出量に関する目標設定について課題を指摘。調査対象23社の65%が科学的根拠に基づく削減目標イニシアチブ(SBTi)に認可されたスコープ3まで含めた二酸化炭素排出量の目標設定をしており、70%がカーボンニュートラルを宣言している。しかし、カーボンニュートラルを宣言している企業の50%は、スコープ3の二酸化炭素排出量を含めていない。動物性たんぱく質を含めた排出量削減に一層取り組むべきとした。
【参照ページ】Affordability and Innovation Drive Record Commitments on Protein Diversification
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