新興市場トランジション投資(EMTI)プロジェクトは10月7日、新興国及び発展途上国(EMDE)のカーボンニュートラル移行に向けた投資を加速するための緊急提言を発表した。同プロジェクトは、2050年までの運用ポートフォリオのカーボンニュートラル(二酸化炭素ネット排出量ゼロ)にコミットするアセットオーナーのイニシアチブ「Net-Zero Asset Owner Alliance(NZAOA)」、持続可能な開発投資パートナーシップ(SDIP)、EU-ASEANビジネス・カウンシル(EU-ABC)が支援している。
同プロジェクトは、カーボンニュートラルの実現と、貧困層へのエネルギーアクセス確保の両立に向けた課題を直視し、議論している。第1回ラウンドテーブルが6月10日に開催され、発行体、規制当局、金融機関、評価機関、NGO等が参加。今回の初の提言としてまとめた。特に今回はアジアについて多くの議論があった。HSBCや気候債券イニシアチブ(CBI)が主導的な役割を果たしている。
同レポートの提言では、まず、機関投資家に対し、新興国での投資機会が潤沢にあることの認知を向上させ、新興国に適した気候・社会的目標に沿ったロードマップを設定し、投資を拡大することを提唱。また同時に投資による悪影響を排除するための追加の指標開発やグリーン投資の手法での投資拡大を訴えた。
企業への投資拡大では、上場企業と国有企業に対し、2年以内にスコープ1と2の指標の開示を要求。また、主要セクターの大企業には移行計画の策定と開示を義務付けるとした。またグリーン資金調達への補助金やインセンティブを通じ、調達を加速させるべきとした。
国際開発金融機関(MDB)や開発金融機関(DFI)に対しては、証券化モデルを通じて、民間資本を大規模に動員するための施策の開発を強化することや、「国家トランジション投資ファシリティ(NTIF)の創設を提唱。またファイナンス先のプロジェクトでのパフォーマンス、信用、排出量に関するデータの共有も求めた。
政府に対しては、エネルギー、電力、製造業、モビリティ等のセクターの明確なロードマップの策定、カーボンプライシング制度の導入、サステナブルファイナンスを促進する規制の導入等を提唱した。
【参照ページ】The Emerging Markets Transition Investment project publishes its Call for Urgent Action
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