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【EU】欧州理事会、ガスの任意共同購入やガス価格バンド制導入等で合意。中国警戒も色濃く

 EU首脳級の欧州理事会は10月21日と22日、会合を開催し、ロシア問題、食料安全保障、エネルギー、対外関係等で合意した。またフォン・デア・ライエン欧州委員会委員長は、中国についての議論にも多くの時間を割いたことをが記者会見で明らかにしたが、合意文書には具体的な内容は記されていない。

 ロシア問題では、ロシア政府によるウクライナのドネツク州、ルガンスク州、ザポリージャ州、ヘルソン州の併合発表を、違法であり断固拒否するとあらためて強く非難。ロシアへの制裁をさらに強化する意向を伝えた。さらに、イランがロシアを軍事支援していると非難し、イランにも矛先を向けた。ノルドストリーム等の重要インフラの破壊行為に対しては、一致団結して臨みつつ、関連のサイバーセキュリティEU指令の改正を掲げた。

 食料安全保障では、EU・ウクライナ連帯レーンにより、ウクライナ産農作物や肥料の輸出が可能となったことを歓迎。国連黒海穀物イニシアチブを当初期限の11月から延長することを求めるグテーレス国連事務総長の呼びかけを支持した。

 エネルギー安全保障では、欧州理事会の開催を見据え、欧州委員会が10月18日に緊急提案を発表している。具体的内容は、ガスの共同購入による購入価格の抑制、欧州天然ガスの指標価格となっているオランダのTTFガス取引「オランダTTF」で上限を含めた価格バンドを設定するための価格補正メカニズムの導入、2023年3月までに新たなLNG価格ベンチーマークの開発、供給不足時の加盟国間のデフォルト連帯ルールの導入等。

 これに対し、今回の欧州理事会は、同提案の内容に概ね合意。EU理事会と欧州議会に対し、追加措置の迅速な決定を指示した。但し、欧州委員会がガス共同購入制度の一つとして、各加盟国でガス貯蔵可能量の15%の備蓄を達成する目標までは共同購入の参加を各国に義務付けることを提案していた内容については、合意に至らなかった。ドイツ政府が強硬に反対したと報じられている。これにより、今回の欧州理事会の声明では、任意参加での枠組みをEU理事会と欧州議会に指示する形となった。また、共同購入先となる信頼できるパートナー国交渉の加速することも指示。但し、具体的な国名は記載していない。西バルカン諸国とEU加盟候補の東欧3ヶ国にも参加を呼びかけるとした。

 長期的なエネルギー課題に向けては、再生可能エネルギーと送電網の普及を加速するための許認可手続きの簡素化、省エネ、相互接続を含む将来性のあるエネルギーインフラ、蓄電、革新的な再生可能エネルギー技術への投資強化、カーボンニュートラルとEUのエネルギー主権の2つを適える完全なエネルギー同盟の構築等を盛り込んだ。

 対外関係では、2022年12月14日に開催されるEU・ASEAN首脳会議に向け、EUとASEANの戦略的パートナーシップをさらに深化させることを確認。気候変動の緊急事態と生物多様性の危機への世界的対応を強化することが極めて急務であることも強調した。

 対中関係では、戦略的議論を行った事実を共同声明の中で報告。また、フォン・デア・ライエン欧州委員会委員長の記者会見では、習近平国家主席が東アジアにおける支配と世界的な影響力を確立するための活動を続けており、ロシアとの無制限の協力関係を構築していることを警戒。ロシアでは化石燃料の依存度が問題となったが、中国に対しては技術や原材料への依存のリスクがあることを取り上げた。今後の対中政策では、すでに策定した調達基準と外国補助金規制を政策手段としつつ、加えて2021年に欧州委員会が提案した「反威圧手段(Anti-coercion tool)」の導入が実効性を持つとの考えを披露した。反威圧手段とは、気候変動、税制、食品安全等の分野でEUに政策転換をもたらすために、各国が貿易や投資を制限したり、制限すると脅したりする行為に対抗する措置のこと。

【参照ページ】European Council conclusions, 20-21 October 2022
【参照ページ】Opening remarks by President von der Leyen at the joint press conference with President Michel following the meeting of the European Council of 21 October 2022
【参照ページ】Commission makes additional proposals to fight high energy prices and ensure security of supply
【参照ページ】EU strengthens protection against economic coercion

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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