国際バッテリー業界イニシアチブのグローバル・バッテリー・アライアンス(GBA)は10月5日、電気自動車(EV)用リチウムイオン電池の二酸化炭素排出量を算出・トラッキングするためのルールブックを公表した。サプライチェーン全体での排出量算出の在り方を規定した。
グローバル・バッテリー・アライアンスは、2017年に世界経済フォーラムの場で発足。現在110以上の企業、国際機関、NGO、政府等が加盟。BASFとユーラシア・リソース・グループのCEOが共同議長を務めている。日本企業ではデンソーと丸紅のみが加盟。日本政府も関与していない。
同イニシアチブは、2030年までに持続可能なバリューチェーンを確立することを目標としており、2021年7月には児童労働撲滅のための行動誓約を発表。同7月には、世界経済フォーラム及びエネルギー・ストレージ・パートナーシップと合同で、アフリカでのエネルギーアクセスのためにバッテリーが重要となるとの報告書も発行した。2022年3月には電子機器業界サステナビリティ推進機関RBA(責任ある企業同盟)の責任ある鉱物イニシアチブ(RMI)との間で、コンゴ民主共和国でのコバルト採掘労働に関する責任ある調達を支援する基本合意書も締結。
【参考】【国際】RMI、コバルト・アクション・パートナーシップの発展プロジェクト発表(2022年3月17日)
今回策定したルールブックは、国際標準化機構(ISO)のライフサイクルアセスメント関連の規格に準拠しつつ、GHGプロトコル、EUのライフサイクルアセスメント公式手法や欧州標準化委員会の規格も参照しながら約80の細則を開発した。開発に参加した企業は、テスラ、BMW、フォルクスワーゲン、BASF、グレンコア、ヴァーレ、ユミコア、カナディアン・ナチュラル・リソーシズ、LG化学、LGエナジー・ソリューション(LGES)、ルノーグループ、ジョンソン・マッセイ、SAP、Saft、iPoint、日立ハイテクの欧州支社等。世界経済フォーラム(WEF)やWBCSD(持続可能な開発のための世界経済人会議)、欧州運輸環境連盟(T&E)、欧州自動車・産業用電池製造者連盟(EUROBAT)等も開発に参画した。
同ルールブックの目的は、EVバッテリーのGHG算出のデファクトスタンダードの確立。特に、EUでは、バッテリーのライフサイクルでの排出量規制が導入されることが決まったことが大きな契機となっている。
【参考】【EU】欧州委、バッテリーのサーキュラー化法案発表。2024年CFP測定、2030年再生素材利用を義務化(2020年12月12日)
今回のルールブックの目玉は、サーキュラーエコノミーモデルを前提としたカーボンフットプリントをトラッキングするための「GBAバッテリー・パスポート」の導入。物理的なバッテリーのデジタルツインとして機能し、マテリアルフローの追跡と、追跡のためのデータを収集・保存していく。また、バッテリーのカーボンフットプリントを含む主要なパフォーマンス指標に対するサステナビリティ報告の機能も兼ねる。
【参照ページ】Launch of Greenhouse Gas Rulebook
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