リスク分析世界大手米ベリスク・アナリティクスは10月3日、カリブ海から米国東南部を襲った巨大ハリケーン「イアン」の陸上試算の保険損害額は420億米ドル(約6兆円)から570億米ドル(約8.2兆円)となると推定した。特にフロリダ州では過去最大の損害額となる見込み。
ハリケーン・イアンは9月19日に発生。カリブ海を北上しながら勢力を増し、9月24日には風速が時速40マイル(約65km)まで上昇し、ここでイアンと命名された。9月28日には、さらに勢力が強まり、風速時速155マイル(約250km)、中心気圧936haにまで成長。米国の台風の大きさを示す指標で上から2番目の「カテゴリー4」のままフロリダ州カヨ・コスタに上陸。米国に上陸したハリケーンとして史上5番目の勢力となった。その後、9月30日にはサウスカロライナ州で3度目の上陸を果たし、10月1日にバージニア州南部で消滅した。
人的被害は、判明しているだけでも、キューバで5人、フロリダ州で105人、ノースカロライナ州で5人で合計115人が死亡。フロリダ州での死者数は1935年のハリケーン以来最多。
物的損害では、ベリスク・アナリティクスの推定によると、風災が380億米ドルから510億米ドルで大半を占める。また、高潮が30億米ドルから55億米ドルで、特にフロリダ州西海岸で海岸沿いの住宅が倒壊。内陸洪水が10億米ドル未満。イアンのサウスカロライナ州上陸の影響は、業界全体の損失の約1%に相当する。被害者フロリダ州に集中しており、被害規模は数百年に一度や1000年に一度という表現も報道等で用いられている。同社の推定には、算定対象外担っている損害項目も多く、実際にはこれ以上の損害となっている可能性も大きい。
同社は9月28日、「2022年グローバルモデル大災害損失報告書」も発表。過去10年間の災害損害額が平均740億米ドルだったのに対し、年間平均で世界中の災害損害額が今後平均で約1,230億米ドル規模にまで上がっていくと予測している。今後10年間で保険損害が2,000億ドルを超える年が1年でも発生する確率は50%以上とした。
【参照ページ】Verisk Estimates Industry Insured Losses to Onshore Property for Hurricane Ian Will Range from USD 42 Billion to USD 57 Billion
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