米カリフォルニア州大気資源委員会(CARB)は9月22日、大気汚染物質を削減するための15年計画「2022年州実施計画(SIP)」を決議した。同計画は、今後15年間で大気汚染物質の排出量を8時間当たり70ppmに抑える米環境保護庁(EPA)基準を達成するため同州の戦略となる。現状では同州民の半数以上となる2,100万人が同基準を上回る地域に住んでおり、抜本的な産業改革に乗り出す。
今回の計画では、不動産での暖房・給湯でのガスを含めた化石燃料使用、農薬、自動車排気ガスの3つを削減対象と位置づけている。とりわけ暖房・給湯器具での化石燃料使用を段階的に削減する規制を2030年に導入することを打ち出したことが大きな話題を呼んだ。自動車排気ガスの削減では、すでに同州はゼロエミッション車両(ZEV)への転換を政策として打ち出しており、本線はそちらで進める。
同州では、特に南海岸大気流域とサンホアキン・バレーの2地域が、全米でも格別にオゾン排出量の多い地域として指定されている。他にも、南岸大気盆地、サンホアキンバレー、ベンチュラ郡、東カーン郡、サクラメント大都市圏、西モハベ砂漠、コーチェラバレーがオゾンの排出量が基準値を超えている。
CARBは、同政策では、2037年に州全体で窒素化合物(NOx)を1日200t以上、反応性有機ガス(ROG)を1日40t以上の削減できると予測。コストは、2023年から2037年の間に、CARB対策で338億米ドル、連邦政府レベルでの対策で623億米ドルが必要と試算。一方、大気汚染削減での健康・環境便益はそれを上回るとみている。同政策を、医療界や環境保護団体は支持。一方、建設エンジニア等からは反対の声が上がった。
CARBは、ガービン・ニューサム州知事の支持で2年前に検討を開始。同計画の策定に14ヶ月を費やした。今後、2023年初頭にかけ、排出削減が必要な地域で地域版SIPを検討する予定。すでに、カリフォルニア州公益事業委員会(CPC)は、新築建物にガス管を設置する建設業者へのインセンティブ補助金を2023年から廃止することを全会一致で決定している。
同州はすでに、芝刈り機や落ち葉ブロワーの電動化も進めており、同日には中小企業や個人が経営する造園事業者向けに購入割引バウチャーの支給も開始。州政府は、2,700万米ドル以上の予算を用意している。
【参照ページ】California adopts comprehensive strategy to meet federal ozone standard over next 15 years
【参照ページ】Landscape equipment manufacturers, dealers invited to participate in new program set to provide discount vouchers for zero-emission lawn mowers, leaf blowers, other equipment
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