欧州・アジア飲料大手コカ・コーラ・ユーロパシフィック・パートナーズ(CCEP)は8月17日、オランダ銀行大手ラボバンクと協働し、CCEPのサプライヤー向けに、サステナビリティ・リンクローン型のコミットメントライン融資(リボルビング・クレジット・ファシリティ)を提供すると発表した。まずドイツで開始し、欧州諸国、オーストラリア、ニュージーランド等で順次展開する。
CCEPは、2040年までにスコープ3を含むバリューチェーン全体でのカーボンニュートラル(二酸化炭素ネット排出量ゼロ)達成が目標。中間目標として、2030年までにスコープ3含む二酸化炭素排出量を2019年比30%削減を掲げている。今回のアクションもその一環。CCEPは、ラボバンクのソーシャルインパクト・ファンド及びラボ財団と協働し、インドネシアで農家支援プログラムも実施。持続可能な農法を促進し、長期的な収量増と経済力改善も進めている。
今回発表のプログラムは、CCEPがサプライヤーへ要求する「2023年までに二酸化炭素排出量削減目標を設定し、科学的根拠に基づく削減目標イニシアチブ(SBTi)からの承認の取得」「2023年までに事業全体で100%再生可能エネルギー転換へのコミット」「二酸化炭素排出量データの共有」に基づき設計。リンクローンとしてのSPTは、同3要件とともにサステナビリティ・サプライチェーン評価世界大手仏EcoVadisからのESG評価を設定した。
両社は今後、他の銀行の参画による同プログラム拡大を目指す。同様のプログラムは、2月にINGとアクシオナが発表済み。
【参考】【ヨーロッパ】INGとアクシオナ、サプライヤー向けリンク・ローン。融資枠65億円、ESG高評価優遇(2022年2月19日)
またCCEPは、同社コーポレートベンチャーキャピタル(CVC)のCCEPベンチャーズを通じ、炭素回収・利用(CCU)技術開発にも着手している。8月19日には、米カリフォルニア大学バークレー校と協働し、工場等から回収した二酸化炭素から製糖する技術を共同開発することも発表した。
砂糖等の農産物は、CCEPのカーボンフットプリント全体の約4分の1を占める。同技術は、砂糖製造工程での二酸化炭素排出量を削減するだけでなく、世界的な人口増で耕地が少なくなる中、土地利用の最適化に役立つと見込む。加えて、原油消費量を削減することで、大幅にコスト削減できるため、二酸化炭素からのPET生成も効率化できる可能性があるという。
初期投資では、同大学のペイドン・ヤン研究グループの基礎研究を支援。実証段階への拡大を進める。同研究グループは、長距離宇宙ミッションを想定した二酸化炭素からの砂糖生成プロトタイプで、米航空宇宙局(NASA)から賞を受賞している。
【参照ページ】Coca-Cola Europacific Partners establishes sustainability-linked Supply Chain Finance Programme with Rabobank
【参照ページ】Coca-Cola Europacific Partners and University of California Berkeley, to develop technology converting air to sugar
【画像】CCEP
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