米ESG投資推進NGOのCeresは8月16日、米証券取引委員会(SEC)が規制提案しているグリーンウォッシュやESGウォッシュ防止の方向性を支持する声明を発表。同時に、実効性の高い規制に関する追加提案を行った。
今回Ceresが声明を発表したのは、SECが5月に案を発表したESG関連ファンドの情報開示強化と、ファンド名規制強化の2つについて。まず双方は、ESG投資市場を健全化する上で非常に重要とし、大きな支持を表明した。
【参考】【アメリカ】SEC、ESGファンドに対するウォッシュ防止の新開示規則案発表。パブコメ募集(2022年5月26日)
追加提案では、まず、SECが示した「ESGフォーカス」「ESGインパクト」のファンド分類が、運用会社の間では判別が難しく、管理コストが嵩むとの懸念を紹介。改善すべきとした。代替策としては、「ESGインテグレーション」をベースとし、「ESGフォーカス」もしくは「ESGインパクト」については明確な基準を設けて追加ラベリングするアプローチ(オプトイン・アプローチ)を提案。「ESGフォーカス」もしくは「ESGインパクト」を自主的に選択したファンドについては、ファンド名に明記する方法を提案した。これによって、SEC自身の監督工数も減らせるとした。
加えて、SECがオプトイン・アプローチを採用しない場合には、「ESGインテグレーション」の分類そのものを廃止し、関連の開示義務も撤廃すべきとした。背景としては、ほとんどのファンドは、何らかのESGファクターを活用しており、もはやESGインテグレーションか否かを判別することが難しくなっているという理由を挙げた。特にガバナンスファクターを含めてしまうと、ESGインテグレーションの範囲が広すぎてしまい、判別が難しくなると懸念した。
さらに「ESGフォーカス」については、投資リターンの最大化のために行う手法ということを明確にすべきとした。一方で、「ESGインパクト」に関しては、投資リターンの最大化ではなく、特定のインパクト追求のための手法と整理すべきとした。
他にも、Ceresは今回、環境フォーカスのファンドだけでなく、ESGフォーカスのファンド全体でファンドのカーボンフットプリント開示を義務化する方向性を強く支持。その上で、ファンドのフットプリント算出では、サービスプロバイダーが提供する発行体の排出量データを活用してもよいことを明確にすべきとした。
ファンド名規制に関しては、2001年にSECが導入している「80%ルール」に関しても、気候変動関連の名称では特別な考慮が必要とした。80%ルールとは、ファンド名をつける際に、ファンド資産の80%以上を占める銘柄に該当する場合にのみ付与できるよう条件を付けているもの。気候変動に関しては、銘柄単位ではなく、ファンド単位で気候変動を訴求するスタイルのものが多く、銘柄単位での構成比率にはこだわるべきではないとした。
【参照ページ】Re: Enhanced Disclosure by Certain Investment Advisers and Investment Companies about Environmental, Social, and Governance Investment Practices, Release No. IA-6034; IC-34594; File No. S7-17-22, and Investment Company Names, Release No. IC-34593; File No. S7-16-22
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