欧州委員会は目下、EUタクソノミー規則の第3条及び第18条に関連するミニマム・セーフガード措置(MS)の細則案を発表。9月6日までパブリックコメントを募集している。
EUタクソノミー規則は、セクター別の「テクニカル基準」とともに、環境分野で最低限満たすべき基準「DNSH基準」と、その他の分野の「ミニマム・セーフガード基準」を定めている。今回の細則案は、金融機関がミニマム・セーフガード基準を投融資先の企業またはプロジェクトに対し確認するためのプロセスを定めている。
まず、ミニマム・セーフガード基準については、金融機関向けの開示ルールとなるサステナブルファイナンス開示指令(SFDR)と、企業向けの開示ルールとして現在立法中の企業サステナビリティ報告指令(CSRD)、及び企業向けのデューデリジェンスルールとして立法中の企業サステナビリティ・デューデリジェンス指令(CSDDD)の3つにも組み込まれる予定の概念となっており、EUとして全体で整合性のあるルール体系を構築する必要があることを確認した。
一方、先行しているEUタクソノミー規則でのルール形成では、今回の細則案で、ミニマム・セーフガード措置の対象分野を、労働権を含む人権、腐敗、課税、公正な競争の4つと特定。これら4分野に適用するプロセスとして、他の指令でのルール形成が終わるまでの当面の措置として、経済協力開発機構(OECD)多国籍企業行動指針と国連ビジネスと人権に関する指導原則(UNGP)に共通する6つのステップを採用する案を提示した。6つのステップは、
- 責任ある行動規範へのコミットメント
- ステークホルダー・エンゲージメントを通じた負のインパクトの特定・評価
- 負のインパクトの撲滅、予防、緩和
- 実効性のある実践
- コミュニケーション
- 苦情処理メカニズムを通じた救済
その上で、CSRDとCSDDDを含めた将来のルール整備についても提案した。具体的には、
- 労働権を含む人権、腐敗、課税、公正な競争に関する企業のデューデリジェンス・プロセスが不十分または存在しないことを、ミニマム・セーフガード不遵守の兆候とみなす
- ミニマム・セーフガード不遵守の兆候として、4つのトピックのいずれかに関連する企業の最終的有罪判決を考慮する
- OECD多国籍企業行動指針が定めるナショナル・コンタクト・ポイント(NCP)との連携不足や、OECD NCPによるOECD多国籍企業行動指針の不遵守の兆候とみなす
- ビジネスと人権リソースセンター(BHRRC)による申立てへの非回答をコンプライアンス違反の兆候とみなす
【参照ページ】Call for feedback on the draft report by the Platform on Sustainable finance on minimum safeguards
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