米海洋大気庁(NOAA)は7月27日、既存の災害マップ「Billion Dollar Disasters」をアップデートし、国勢調査地区単位で気候関連物理的リスクマップをリリースした。100種以上の気候関連災害の発生リスク、エクスポージャー、脆弱性、レジリエンスを認識できるようになった。
同マップは、NOAAの国立環境情報センター(NCEI)が提供。全米50州とワシントンDCをカバーし、平均人口4,000人単位の7万2000以上の国勢調査地区で状況が把握できるようになった。NOAAは、徐々に粒度を細かくしていき、2021年には郡単位での把握が可能となっていた。
物理的リスクには、激しい嵐、竜巻、旱魃、熱波、ハリケーン・熱帯低気圧、山火事、河川流域や都市の洪水、豪雪・凍結、寒波等が含まれる。加えて、国勢調査局のアメリカン・コミュニティ・サーベイのデータを活用し、「CDC Social Vulnerability Index」を用いた社会経済的脆弱性のデータも可視化した。社会経済的脆弱性では、世帯構成、マイノリティ居住や言語、住居形態、交通利便性等が加味されている。
ツール名称の「Billion Dollar Disasters」は、2020年1月以降、米国では、被害額が10億米ドル以上の気候関連災害が51件発生しており、被害総額が2,750億米ドル以上、死者が約1,000人にもなっていることから命名された。
NOAAは8月2日、米国の西海岸と東海岸では、海面上昇で高潮による浸水日数が史上最多となってきていると表明。洪水対策を強化しなけば2023年以降も続くと予想した。現状では、2019年から2020年では高潮洪水の頻度は平均2日から6日だったが、2022年5月から2023年4月では平均3日から7日に上昇。今後、豪雨発生時だけでなく、満月の時や偏西風や海流の変化等による「サニーデイ・フラッド(晴天の洪水)」が常態化すると警鐘を鳴らした。
【参照ページ】NOAA tool now brings disaster risk, vulnerability down to community level
【参照ページ】U.S. high tide flooding breaks records in multiple locations
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