米ESG投資推進NGOのCeresは8月5日、連邦準備理事会(FRB)、連邦預金保険公社、米財務省通貨監督庁(OCC)に対し、地域再投資法(CRA)の改正で意見書を提出した。人種平等を明示的に組み込み、重要な環境・気候に関する条項の強化を求めた。
今回の発表は、CRAの改正に関するパブリックコメントに対応したもの。CRAは1977年に、低・中所得者層(LMI)への貸付など基本的な銀行サービスへのアクセスを拡大し、差別的な貸付慣行に対処するために制定された。最後の改正は1995年であり、今回の改正ではLMI地域や有色人種地域等、サービスが十分に享受できていない地域に対し、融資、投資、サービスを拡大することが狙い。
Ceresは、以前からCRAに気候変動レジリエンスと人種平等を含めることを提唱。2021年2月には、FRBからのCRA改正のためのパブリックコメントに対し8つの施策を提言しており、2021年10月には、OCCが打ち出したCRA改正を強く支持。今回のCRA改正のパブリックコメント募集を受け、Ceresが評価している気候変動リスクスコアカードで、「3.財政的に脆弱な地域に関する気候変動リスクの評価」項目がプラス評価に変更された。
(出所)Ceres
今回の発表では、CRA最終規則に以下の条項を含めることを推奨した。
- 歴史的に貸付での差別慣行があった地域と気候変動に対して最も脆弱な地域が基本的なサービスを享受できるよう該当の地域と人種を指標として明示
- 災害への備え、気候変動レジリエンスの定義の追加等、地域開発(CD)活動の定義を見直しより効果的かつニーズのあるCD活動を支援
- CD活動のインパクト測定と地域開発金融の度合いを評価するベンチマークや指標の確立
- 略奪的融資や環境リスク増加等、LMI地域に対する悪影響の回避と、違反した場合の銀行格付の引下げ等の対策
- オンラインでの貸付や預金などのサービスの享受
- CRAの責任を負う中小規模の銀行の資産基準を維持
【参照ページ】Ceres calls on federal banking regulators to strengthen racial and climate equity in the Community Reinvestment Act
【参照ページ】2022 Climate Risk Scorecard
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