EUの欧州金融監督機構(ESAs)を構成する欧州証券市場監督局(ESMA)、欧州銀行監督局(EBA)、欧州保険・企業年金監督局(EIOPA)は7月28日、サステナブルファイナンス開示規則(SFDR)に基づく金融機関の自主開示のベストプラクティスを分析したレポートを欧州委員会に提出した。
EUサステナブルファイナンス開示規則では、開示ルールの導入を意図的に「見切り発車」させ、事後に実践状況や課題をモニタリングし、漸進的に政策を進めることを狙っている。そのため、ESAsは毎年、欧州委員会にベストプラクティスに関する報告書を提出するとともに自主報告基準の改善に向け提言する義務を負っている。今回の報告書はその義務に基づくもの。
今回の報告書は、ESAsがEU加盟国の規制当局に調査票を送り、集まった33の回答を分析したものがベースとなっている。予備的結論としては、SFDR第4条1項(a)に基づく自主的な開示の遵守の程度は、国・地域や市場参加者毎に大きく異なり、明確な傾向を見出すこともできなかったとした。金融機関の規模、性質、活動範囲の観点でも明確な傾向はなかったという。
課題としては、第4条1項(b)に基づくサステナビリティに関する悪影響の投資判断での考慮に関しては、全体として金融機関の開示は詳細さがなく、その理由も明確に示していないことがほとんどとした。また、悪影響を考慮する意図の有無や時期に関する情報も十分でないとの認識を伝えた。加えて、加盟国の規制当局からも、パリ協定との整合性の程度について、金融機関の開示が全体的に少なく、整合性に関する開示は曖昧度合いが高いとの報告があった。
ESAsは今回、SFDRは2021年3月10日に適用開始となったものの、規制テクニカル基準(RTS)はまだ適用されていない時期であることを強調。自主的な開示に関する加盟国規制当局の監督実務もまだ発展途上なことから、現時点でのベストプラクティスや提言はあくまで暫定的なものと説明した。また、ESAsは、SFDRに基づき、金融機関のデューデリジェンス開示がもたらす影響についてもガイダンスを発する責務を負っているが、今回はまだ時期尚早とし、今後の報告書で扱うとの考えを示した。
【参照ページ】Joint ESAs’ Report on the extent of voluntary disclosure of principal adverse impact under the SFDR
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