化学世界大手米ダウは7月14日、同社の再生プラスチック含有樹脂シリーズ「REVOLOOP」が、リサイクルのトレーサビリティと再生原料含有量に関する欧州規格「UNE-EN 15343」の認証を得たと発表した。ポリエチレン(PE)化合物での同認証を取得は世界初。
UNE-EN 15343は、欧州標準化委員会(CEN)が運営するEU規格「欧州規格(European Standards)」の一つ。リサイクル工程でのトレーサビリティ及び特性評価、プラスチック製品加工に使用する使用済み再生プラスチックの最低含有量の2スキームで、必要な手順を規定している。
認証プロセスでは、スペイン標準化・認証協会(AENOR)が、使用済みリサイクル素材の原産地を確認。対象製品の原料投入量の管理を中心に製造工程の分析を行う。さらに製品の再生素材含有量の算定プロトコルの監査も実施。定期的な管理により、信頼性を担保する。
REVOLOOPは、再生プラスチック含有率30%の「XZ98612.00」、70%の「XZ98615.00」及び「XZ89169.00」の3種類。今回取得したUNE-EN 15343認証は、3種類すべてに適用される。
同樹脂では、単一ペレットを活用することで、廃プラスチックのリサイクル素材(PCR)の含有を容易にした。幅広い用途での活用が期待でき、欧州市場で展開する。
さらに同社は6月9日、ナイジェリアで展開してきた軟質プラスチック・リサイクル実証プロジェクト「REFLEX」を、エジプトとギニアへも拡大すると発表した。資金は、同社の技術や専門知識を活用して社会問題に対処するために、企業が価値あるプロジェクトに助成する「ダウ・ビジネス・インパクト・ファンド」が拠出母体となる。
ナイジェリアでのプロジェクトは、2020年に開始。地域コミュニティで清潔な水を利用するための軟質プラスチック袋を回収し、食品以外の包装としてリサイクルしてきた。同プロジェクトで回収したプラスチックはすでに、大手ブランド企業により一部使用されている。
ダウは同プロジェクトを通じ、2025年までに軟質プラスチック包装の廃棄物1万t削減を目指している。また、廃棄物リサイクルWecyclersと協働し、ナイジェリア、エジプト、ギニアでの廃棄物回収による雇用5万人以上の創出も進める。これらは、ダウの2030年までに世界でプラスチック100万tを回収、再利用、リサイクルする目標「STOP THE WASTE」の一環。
エジプトへのプロジェクト拡大は、2021年12月に開始。英環境NGOウェイストエイドと18ヵ月間のパートナーシップを締結し、同国での廃プラスチックの改修とリサイクルを行っている。今後は、エジプトとギニアで政府、企業、地域コミュニティと協働し、軟質プラスチック回収とリサイクルを進めていく。
【参考】【エジプト】ダウと環境NGO、廃プラ回収とリサイクルで提携。ダウが活動資金を拠出(2021年12月17日)
【参照ページ】Accelerating mechanical recycling: Dow becomes first to achieve traceability and recycled content certification for PE compounds
【参照ページ】Dow Expands Flexible Packaging Recycling Effort Across Africa
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