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【EU】欧州議会、デジタル市場法(DMA)とデジタルサービス法(DSA)を可決。EU理事会での審議へ

 EU下院の役割を果たす欧州議会は7月5日、デジタル市場競争力強化のEU規則案「デジタル市場法(DMA)」と、オンライン上のユーザー権利保護強化のEU規則案「デジタルサービス法(DSA)」を可決した。EU理事会でも可決されれば、双方のEU規則が成立する。

 欧州議会の採決では、デジタル市場法(DMA)は、賛成588、反対11、棄権31。デジタルサービス法(DSA)は、賛成539、反対54、棄権30だった。双方とも、2020年12月に欧州委員会が採択し、DMAは2022年3月、DSAは2022年4月に、EU理事会と欧州議会の間で政治的合意に到達。立法手続きに入っていた。

【参考】【EU】EU理事会と欧州議会、デジタル市場法の制定で政治合意。ゲートキーパーの義務と禁止事項(2022年3月27日)

 DMAは、デジタルプラットフォーマーに対する規制の強化している。欧州委員会は、すでに競争法を準用し、デジタルプラットフォーマー規制を発動していたが、今回正式に特別法を制定する。

  DMAの規制対象は、検索エンジン、SNS、アプリストア、動画共有サービス、メッセージングサービス、クラウドコンピューティングサービス、デジタル広告サービス、バーチャルアシスタント、ウェブブラウザーの10種類の提供企業。欧州経済領域(EEA)での年間売上が過去3年度で毎年75億ユーロ以上、または平均時価総額が前年度で750億ユーロ以上等であり、かつ3加盟国以上で中核的プラットフォームサービスを提供していることや、前年度に、EU域内に設立または所在する月間アクティブエンドユーザーが4,500万人以上、またはEU域内に設立された年間アクティブ企業ユーザーが1万社以上いること等の要件により、プラットフォーマーとして認定される企業が決まる。

 デジタルプラットフォーマーへの義務は、実施義務と禁止事項の双方が規定されている。実施義務は、まず、アンインストールやサービス退会の容易化、デフォルト設定の変更の容易化等。これによりプラットフォーマー側が提供するサービスが不当に優遇されることを防ぐ。また、プラットフォーマーが保持している広告関連データを第三者にも公平に提供するため、パフォーマンス測定ツールの提供等の提供も義務付ける。プラットフォームの外側で、サービス提供企業と顧客が契約を締結することも許可しなければならない。

 一方、禁止事項は、デジタルプラットフォーマーが、プラットフォーム上のサービスを提供する自社グループ部門にデータを使用することが禁止。これにより、社内のファイアウォール整備が義務化される。また、自社グループの製品やサービスを第三者のものより有利にランク付け等する行為も禁止。アプリ開発者がプラットフォーマーのアプリストアに掲載されるために、プラットフォーマーが提供する特定の支払いシステムやIDシステムの利用を強要することも禁止。

 一方DSAは、オンラインプラットフォームの違法・有害コンテンツに関する説明責任に関し新しい基準を設け、インターネット上の基本的な権利の保護を強化するもの。DSAの規制対象は、プロバイダーやレジストラ等のネットワークインフラ、クラウドサービスやホスティングサービス、オンラインマーケットプレイス、アプリストア、シェアリングエコノミーサービス、SNS等のマッチングプラットフォーム、そしてEU域内での利用者が4,500万人以上の大規模な検索エンジンとオンラインプラットフォームの4種類。

 課せられる義務は、まず、オンライン上の違法な商品、サービス、コンテンツへの対抗措置として、プラットフォーム上でユーザー側が信頼できる投稿者のフラグを付与できる仕組みの提供とともに、マーケットプレイス上でのトレーサビリティを義務化。また、ユーザー権限強化として、プラットフォームのコンテンツ監視ルールに異議を唱え、司法による救済を求める権利の付与や、オンライン上のリスクの研究のために主要データを研究者やNGOへ提供することも義務化。これにより、ユーザへのコンテンツや商品レコメンド等のアルゴリズムを含む透明性を向上させる。

 また、リスク評価と軽減のため、大規模なプラットフォームと検索エンジン提供者は、偽情報等のシステミックリスクを防ぐ的確な行動とリスクマネジメントに関しては第三者監査を受けることも義務化。未成年の保護措置と、ターゲット広告に関する個人情報の使用制限もルール化された。公共の安全、公衆衛生への危機に対しても迅速かつ効率的に対応することも盛り込まれている。

 DSAは、欧州委員会は、デジタルプラットフォームに対する監督と執行を強化することも規定。EU加盟国毎に設けられるデジタルサービスコーディネーターとデジタルサービス委員会と連携し、企業の監督に当たる。

 DMAとDSAは、EU理事会での可決後、官報公示から20日後に発効する。DMAは発効から6カ月後に適用が開始。プラットフォーマーは、指定されてから最長で6カ月以内に新たな義務を遵守することになる。一方、DSAはEU全域に直接適用され、発効後15カ月または2024年1月1日のどちらか遅い日付から適用される。超大型オンラインプラットフォームおよび超大型オンライン検索エンジンに対する義務は、先行して、欧州委員会が指定した日の4カ月後に適用される。

【参照ページ】Digital Services Package: Commission welcomes the adoption by the European Parliament of the EU's new rulebook for digital services

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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